同支援金は「子なし・独身世帯」「子育て世帯」を問わず公的医療保険の加入者全員から集められるが、給付の恩恵を受けるのは主に子育て世帯となる。子どもがいない人や成人した世帯にとっては「負担のみ」となる構造が論議を呼んでいるのである。
支援金の使い道は、児童手当の拡充、妊婦のための支援給付(出産・子育て応援交付金)、乳児等のための支援給付(こども誰でも通園制度)、出生後休業支援給付(育休給付と合わせて最大28日間、手取りの10割相当)、育児時短就業給付(時短勤務を行なった場合に賃金額の10%を支給)などであり、こども家庭庁によると、子ども一人当たり約146万円の給付拡充となる(子ども・子育て支援金制度のQ&A)。当然ながら「子なし・独身世帯」への「給付」の余地はない。
「支援金」を医療保険の枠組みで徴収することの問題点
ここで興味深いのは、立憲民主党の主張だ。かつて立憲民主党は、岸田政権時に作成された政府の「子ども・子育て支援法改正案」に対し、財源を変更する修正案を提出している。その際、以下のような異論を投げかけている。
「支援金制度は、現行の医療保険料に追加するかたちで徴収するものとなっています。しかし、これでは保険の本来の機能を壊しかねません。医療保険を始めとする社会保険は、社会連帯としての側面はあるものの、基本的には、保険料負担の見返りに給付を受けるものです」(子ども・子育て「支援金」の問題点と立憲民主党の財源案/2024年4月19日)
要するに、同支援金は、「医療に直結しない費用を医療保険の枠組みで徴収するものであり、給付と負担の関連性が極めて希薄で、社会保険制度の趣旨を逸脱」していると抗議しているのだ。本来、社会保険料は「支払った保険料に応じて給付を受ける」仕組みだが、同支援金には直接的な給付の対価性はない。
このため、再分配の論理であるなら、社会保険料ではなく「税金」で徴収すべきだという意見はまったく正しいのだが、制度設計をする側からすれば、世論が沸騰する可能性が高い「増税」オプションよりも、給与天引きで済む現役世代の社会保険料のほうが、徴収しやすいという目算があったことは想像にかたくない。
前出の立憲民主党は、先の懸念に加えて、「支援金制度は、現役世代の手取り額を減らし、子ども・子育て支援策や少子化対策と逆行してしまうという問題」を指摘し、「支援金制度は、社会保険料と同様、収入の多い現役世代に負担が偏」るとしている(同上)。
ここに示されている問題点は、まさに今現実化してしまっており、現役世代を直撃している。
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【「経済的な不安から子どもを作れない」層を放置した政策】
