現場で二見氏が気にかけていたのは、リビングに敷かれた1枚の布団だった。現在の娘はもう働きに出ている年齢だが、2人はここで一緒に寝ていたという。
娘は子ども部屋のベッドで寝ていた時期もあったが、ゴミに占領され、そのうちリビングで2人並んで眠る生活になっていった。娘の宿題も、ご飯も、布団の横に置かれた小さなちゃぶ台で済ませていた。
「ほぼ、このスペースで生活していた感じです。2人とも小さいので収まるんです」(母親)
二見氏の目には、母親が娘に依存しているようにも映った。娘の古い写真や持ち物を大切に取っておく姿、リビングで2人並んで眠る姿。母親には相談できる友人もいなかったのかもしれない。
シングルマザーとして1人で家事と育児を抱え、体調を崩しながら入退院を繰り返した。その中で、娘だけが心の支えになっていったのだろう。親子の距離が縮まりすぎた背景には、そうした孤独があったように思える。
親が片付けられなければ、子も片付けられない
ゴミやモノがたまり続けてしまった理由について、二見氏はこう話す。
「この家は母娘ともに片付けが苦手でした。お母さんがそもそも苦手だったから、娘さんも自然とそういう暮らしぶりになったんだろうなと思いますね」
小さい頃、親に「ちゃんと片付けをしなさい」と言われた記憶は多くの人にあるだろう。しかし、それがない環境で育てば、片付けをしない生活が「当たり前」になってしまう。大人になってから「よくなかった」と気づくことはあっても、子どもの頃からそれに気づき、自然と片付けられるようになるケースはほとんど見ないという。
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【ゴミ屋敷への分かれ道は…】
