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民主制や個人の自由を蔑ろにする経済優先の論理がファシズムを招き入れた カール・ポラニー『大転換』を読む(下)

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『[新訳]大転換 市場社会の形成と崩壊』カール・ポラニー 著
カール・ポラニー『[新訳]大転換 市場社会の形成と崩壊』野口建彦、栖原 学 訳/東洋経済新報社
  • 河野 龍太郎 BNPパリバ証券 経済調査本部長・チーフエコノミスト

第2次世界大戦後はブレトンウッズ体制の下、資本移動が制限され、各国は完全雇用や所得分配を最重視する政策を採用した。自由化やグローバル化は各国の社会契約を侵食しない範囲で進められ、国際政治と国内政治の均衡は制度的に担保された。この構造を政治学者のジョン・ラギーは「埋め込まれた自由主義」と呼んだ。

ビジネスに効く名著のエッセンスを識者がコンパクトに解説する。【原則土曜日更新】

重要なのは、戦後体制が自由化やグローバル化を否定せず、社会の内部に位置づけ直したことだ。市場機能を維持しつつも、資本規制や為替管理、社会保障など社会の安定化装置を配することで、自由化・国際化の破壊力を封じ込めた。こうして戦後の先進国は、安定した経済成長と均斉の取れた所得分配を実現した。

しかし1970年代後半、まずアメリカが新自由主義に舵を切り、市場経済を解き放つ。冷戦終結後の90年代以降は各国が同様の政策を推進した。資本移動の自由化と規制撤廃は国際経済を活性化したが、一方で株主至上主義の企業経営が国内の所得分配を歪め、民主制や社会の安定を掘り崩した。

現在の国際政治・経済は、20年代以降と似通っている

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