今年3月25日、スマートヤメマス(東京)が東京地裁から破産開始決定を受けた。同社は24年8月、退職代行サービスを目的に設立された。弁護士の監修を受けたうえで、退職希望者に代わって職場に退職意思を取り次ぎ、円満でトラブルのない退職を支援するとしていた。
だが、設立したばかりで知名度が低く、積極的にネット広告を出稿したが、想定していた利用者数を確保できず、設立から2年足らずで資金繰りに行き詰まった。
こうしたケースは、スマートヤメマスだけの問題ではない。退職代行を掲げる56社のうち、資本金1000万円を超える企業はわずか4社しかない。いかに小・零細規模の退職代行サービス業者が乱立しているかわかる。
ダンピング競争で淘汰が起きる?
そして、競争が激しくなると、次は料金のダンピングが起こる。一つ一つのサービス料金は安価でも、いくつかのサービスを合計すると高額となる場合もあり注意が必要だ。
また、ある弁護士法人は、退職代行サービス業者とほぼ同様の料金を広告しており、退職代行はサービス業者、労組、弁護士が相まみえる市場になりつつある。こうした競合の末、スマートヤメマスのように淘汰される業者が今後も現れないとは限らない。
退職の手間やトラブルなどを避ける目的で利用される退職代行サービスは、今後も一定のニーズが見込まれる。ただ、利用するデメリットも明確になりつつあり、これまでと同じペースで利用が広がるかは不透明だ。
転職市場が賑わい、退職へのネガティブな印象も薄れている。「石の上にも3年」「立つ鳥跡を濁さず」などの言葉は、古いかもしれない。とはいえ、退職の諸手続きがルールから逸脱しても構わないという免罪符にはならない。自分から退職を申し出ることが難しい「ブラック企業」は論外だとしても、自ら退職の意思をしっかり伝えることが次のステップにつながることもある。
