すると、「30分ごとに5分歩く」という条件だけが、血糖値と血圧の両方を有意に改善し、食後の血糖スパイクを58%低下させました。歩くスピードは時速約3km(散歩程度のゆっくり歩き)でも効果が認められており、必ずしも激しい運動は必要ありませんでした。
一方、30分ごとに1分だけ歩く条件では、血糖改善の効果は限定的でしたが、血圧の低下効果は認められていました。
トイレや給湯室に行くなどでちょっと席を立つ場合は、できれば5分ぐらい席に戻らず、ある程度は体を動かす。それが座りっぱなしの害を相殺し、健康を保つ秘訣と言えるのかもしれません。
座りっぱなしは現代人の怠慢ではなく、環境がそうなっているからです。
筆者が研究者の三浦基(もとい/現・医療法人社団フェリオス東京日帰り手術クリニック)氏らと行った日本のデスクワーカーを対象とした今年発表の研究では、在宅勤務の頻度が高い人ほど、1日8時間以上座っている傾向がありました。
出勤していれば自然に生まれていた通勤・駅までの歩行、部署間の移動、同僚との立ち話といった細かな活動がなくなることで、本人が意識しないうちに座りっぱなしの時間が延びていくのです。
ただ、これは在宅勤務が悪いというわけではありません。むしろ細かな活動がしにくい分、意識的に「30分経ったら5分立つ・歩く」という行動をとりましょうということを、示していると言えます。
「30分に1度立つ」を仕組みに
では、具体的にどうすればよいのでしょうか。カギとなる考え方が、「エクササイズ・スナック」です。
まとまった運動を一度に行うのではなく、1〜5分程度の短い動きを1日の中で、スナックをつまむように何度も挟むことをいい、運動習慣のない人にも取り入れやすいというメリットがあります。
先に「30分ごとに5分歩く」ことが健康(血糖値や血圧改善)によいという研究結果を示しましたが、大事なのは、座りっぱなしを解消するために、少しでも体を動かすことです。
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【エクササイズ・スナックとは?】
