■座りっぱなしと認知症の関係
脳や健康寿命への影響も見逃せません。
先に挙げたイギリスのUKバイオバンクのデータを使い、2023年に発表された研究では、60歳以上の約5万人を平均6.7年間、追跡しました。その結果、座りっぱなしの時間が1日10時間を超えたあたりから、認知症リスクが急上昇し始めることがわかりました。
具体的には、基準の1日9.3時間と比べて、10時間で8%、12時間では63%とリスクが増えていき、15時間では3倍超の増加が示されています。因果関係の断定はできないものの、座りがちな生活と脳の健康は無関係ではないようです。
■座りっぱなしと健康寿命の関係
健康寿命では、約4万5000人の女性を20年間追跡したデータを用いた興味深い調査もあります。これは2024年にアメリカから発表されました。
この調査では、座りっぱなしでテレビを観ている時間が1日2時間増えるごとに、健康寿命が12%低下し、逆にこの1時間を中等度以上の身体活動(運動など)に置き換えると、健康寿命が28%高まると推定されました。
ここでいう健康寿命とは、“重い慢性疾患や認知・身体・精神機能の低下を避けながら、70歳以上を迎えること”で、20年間も追跡調査された意義は大きいと言えます。
激しい運動でなくても、日々の座る時間を減らして、ちょっとした運動に変えるだけで、老後の質が変わりうるという視点は重要です。
「何分続けて座るか」も問題
■体に悪い「座り方」が判明
ここで1点補足しておきたいのが、座りっぱなしの時間の「総量」と「連続性」の違いです。
2時間続けて座りっぱなしでオンライン会議をするのと、2時間の仕事の間に30分ごとに立って資料を取りにいくのとでは、合計時間が同じでも体への影響が異なる可能性があるというのです。
この点を実験的に検証したのが2023年の研究です。
参加者に8時間座りっぱなしでいてもらい、そのなかで「30分ごとに5分歩く」「30分ごとに1分歩く」「60分ごとに5分歩く」「60分ごとに1分歩く」「まったく歩かない」という5つの条件が比較されました。
次ページが続きます:
【最もよかった条件は?】
