そこにファッションのプロが同行し、自分に似合う形、色味、サイズ感などの提案があるからこそ、顧客は自分だけのスタイルを発見できる。
小松さんたちは「今日は見るだけ、ファッションのコーディネートを勉強するだけ、というのも大丈夫です」という。実際、手持ちの小物やお洋服を持参、もしくは写真などでコーディネートを相談することもできる。
近年、商業施設では機械を使った「3D骨格診断」などが流行しているが、阪急阪神百貨店では先月でこのシステムを終了させた。タイパやコスパが重視される現代において、なぜ百貨店はあえて非効率とも言える方向に振り切ったのか?
それは百貨店としての強い方針ゆえの決断だった。このプロジェクトの立ち上げメンバーである経営企画室の今川さんは、こう語る。
「機械による診断は、自分の体型を客観的に知るという意味では非常にわかりやすく、お客様も納得して帰られます。ただ、それだけでは足りないのです。私たちが目指すのは、人とサービスに特化し、対面でご案内していく形だよねって 」(今川さん)
つまり、データでは測れない顧客の「なりたい姿」を汲み取れるのは、対面での接客であるということだ。対面接客であれば、その日の気分や、「上半身はMだけど、下半身はL」といった微妙なサイズ感の悩みにパーソナルに応えることができる。
カジュアルな服しか選ばない40代女性の変化
利用客の中には、「なんだか洋服選びが楽しめない」というモヤモヤを抱える人もいる。
小松さんは、ある40代の女性客の悩みに関するエピソードを語った。
その女性は、カジュアルな服を上手に着こなし、一見ファッションに悩んでいるようには見えなかった。だがヒアリングすると「好きで着ているというより、ただ着ているだけ」と浮かない顔で話したという。
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【「ファッションを楽しむことを思い出せた!」】
