最終的に私は3着の服と1足の靴を購入した。総額6万円ほどで、筆者にとって奮発した買い物だった。正直なところ、サービスを受ける前は、買うつもりはなかった。だが、お店を出る頃には「買ってよかった」という満足感に包まれていた。
得られた「心の豊かさ」
その思いは、数週間経っても消えていない。消費されがちな安い服よりも、納得して選び抜いたものをずっと大切に使う。その日々が、気が付いたら大人になっていた筆者に、心の豊かさを生んでいるように感じたからだ。
ここで、ふと冷静になると一つの疑問が浮かぶ。
プロのコーディネーターが付きっ切りで館内を歩き回って、たったの「3300円」……? 安すぎるような気がした。百貨店側からすれば、どう考えても人件費に見合わない赤字ではないだろうか。
アパレル不況が続く中、なぜ阪急阪神百貨店は、あえてリーズナブルな価格設定でプロの知見を解放したのか――。後編では、この異例のサービスの裏側にある、「百貨店の戦略」を探求する。
