それに対して京大の文系学部では、共通テストでは地理歴史・公民2科目が必要ですが、二次試験の個別学力検査では社会は1科目です。もちろん京大社会も決して楽ではありませんが、少なくとも「二次で2科目を回さなければならない」という東大特有の重圧はありません。
この時点で、東大社会には京大社会とは別種のしんどさがあると言ってよいでしょう。東大は社会においても、「一つの得意科目を尖らせる」より、「複数領域をまとめて高水準で処理する」受験生を求めているのです。
東大社会は徹底した「字数制限」
では、中身に入っていきましょう。東大の社会科目を見ていると、まず目につくのが明確な字数制限です。たとえば東大日本史は、例年すべての大問が論述形式で構成され、2026年度も総字数は630字、小問ごとの字数は30字から150字の範囲に設定されていました。
東大世界史でも、300字論述に加えて、120字・90字・60字といった短い小論述が並びます。東大地理も同様で、60字程度の論述問題が中心です。
つまり東大社会は、社会科目でありながら、常に「限られた字数の中でどう答えるか」という編集作業を受験生に要求しているのです。
これは実は、東大の他科目とも共通しています。英語では70〜80字、あるいは70〜80語の要約が出題され、国語でも長い文章を120字前後でまとめさせる設問があります。東大は科目横断的に、「長く書けるか」ではなく、「短く、しかし本質を落とさず書けるか」を重視しているのです。
普通は、たくさん書くほうが大変だと思われがちです。しかし実際には、情報量の多いテーマを短い字数でまとめるほうが、むしろ難しい。何を残し、何を削るのか。どの順番で書けばもっとも伝わるのか。そこでは単なる知識量以上に、選別力・構造化力・編集力が問われています。
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【東大社会は「知識量勝負」に見えて実は…】
