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家賃5.9万・築60年木造アパートの「ひとり暮らし」…「わかったふりはしたくない」と葛藤する29歳現場監督の"幸せの形"

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寺澤さんの部屋
建築現場で施工管理の仕事をする寺澤さんの部屋(撮影:尾形文繁)
  • 蜂谷 智子 ライター・編集者 編集プロダクションAsuamu主宰
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職場での寺澤さんは、やりがいを感じているが、素でいられる状態とは少し違うのだろう。施工管理の現場は少人数で回っていて、関係が近い分、言葉の選び方ひとつにも気を使う。本人の「自分で考え、判断し、責任を持って伝えなければいけない」という気負いもあるのかもしれない。

そんなふうに、会社では‟ちゃんとした自分”でいようとするからこそ、家でも職場でもない場所で、緩く受け入れてもらえる時間が必要になる。寺澤さんにとってその店は何かを成し遂げる場所ではない。うまく話せなくても、少し黙っていても、その場にいていいと思える場所。

「もしそこがなくなったら、生活にメリハリがなくなりそうです」

家と職場の中間にある、いわゆるサードプレイス。それが寺澤さんにとっては、その店なのだ。

先が見えずとも「毎日、幸せ」と言えるわけ

寺澤さんのケースに限らず、近年は仕事の場が、以前よりもずっと慎重な距離感で成り立っている。言葉の選び方ひとつで、関係のあり方も変わってしまうような……。

コンプライアンスが整い、無理に踏み込まないことが前提になった社会は、たしかに働く人を守ってくれる。しかしその一方で、少し力を抜いていられる場所を、人々は職場の外に持たなければならなくなった。

寺澤さんの話を聞いていると、ふと自分の生活の中に、そういう場所はあるだろうかと考えてしまう。家でもなく、職場でもない場所で、「役割を脱いだ自分」でいられる場所がーー。

上着には行きつけの飲み屋のオリジナル缶バッジ。そこではナンパ・下ネタ禁止とのこと(撮影:尾形文繁)

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【ささやかだけれど確かな「幸せ」】

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