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家賃5.9万・築60年木造アパートの「ひとり暮らし」…「わかったふりはしたくない」と葛藤する29歳現場監督の"幸せの形"

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寺澤さんの部屋
建築現場で施工管理の仕事をする寺澤さんの部屋(撮影:尾形文繁)
  • 蜂谷 智子 ライター・編集者 編集プロダクションAsuamu主宰
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寺澤さんの部屋は、昭和的な木造アパートの緩い雰囲気の中に、一種独特なセンスが宿っていた。

玄関を入ると、まず目に入るのは服と靴の並び方。セレクトショップの一角のように、厳選されたアイテムが丁寧に置かれている。窓辺には観葉植物、お香、アクセサリー。

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一方で、本人や友人が描いたという抽象的な絵や、メルカリで見つけたという鴨の剥製など、どこか普通からはみ出したものも、さり気なく飾られている。緩さと洗練と規格外。そのバランスが絶妙な空気感を醸し出している。

しかし本人はいたって力の抜けた様子で、それをことさらに語ろうとはしなかった。

ファッションが好き。畳めないものは外に掛けて、インテリアの一部にしている(撮影:尾形文繁)
几帳面に整理されている(撮影:尾形文繁)

「わからない」は、拒絶ではなく誠実さかもしれない

インテリアのこだわりはありますか?と聞いたとき、寺澤さんはしばらく考えてから「わからないです」と答えた。

彼は、取材を通じて何度も「わからない」という言葉を繰り返した。取材をする側としては正直困ってしまうが、彼が頭を抱えて考え込みながら絞り出す「わからない」は、適当に放つ拒絶の言葉ではなく、「そこに、考えるべきことがある」ということのようだ。

寺澤翔(てらさわ かける)さん 29歳。建築現場の施工管理の仕事に携わる会社員。大学の電気電子工学科を卒業後、設備系の現場監督を経て転職。現在はデザイン性の高い内装や空間づくりに携わる。北海道出身で、高校時代から親元を離れ、現在は新丸子の築古アパートでひとり暮らし(撮影:尾形文繁)

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【「わかったふりはしたくない」】

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