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ある「台湾老兵」の激動の人生、日本へ伝えたかったそのメッセージとは? 日本兵・国民党兵・政治受難、知られざる血涙の物語

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日本軍兵士、国民党軍兵士、政治犯……。激動の台湾現代史を生きた許昭栄さんの記念碑(写真:筆者提供)

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台湾で中国国民党(国民党)候補の馬英九氏が総統選挙で勝利を収め台湾南部・高雄市内で総統就任を祝う行事を行っていた2008年5月20日。この日の夜、台湾の1人の老人が同市の公園でこの世を去った。亡くなったのは許昭栄さん(1928~2008年)。

日本統治時代に生まれ、第2次世界大戦では日本海軍兵士として参戦した。戦後の中華民国となった後での過酷な政治弾圧「白色恐怖」の受難者でもあり、晩年は台湾の「老兵問題」について奔走した。まさに台湾現代史そのものを体現した人物だった。

許昭栄さんには筆者が高雄の大学に留学していたとき、たいへんお世話になった。そして、ご自身や老兵問題に関わる資料の作成をも手伝っていた。そのため、現在でも筆者は多くの資料を保管している。

故人は戦後の自身や台湾の苦難の歴史を、後世の日本に伝えてほしいとの強い思いがあった。資料は膨大だが、ここでは許昭栄さんが歩んできた戦後の人生に焦点を当てて、彼の生き様を紹介してみたい。

名前は元号「昭和」から

許昭栄さんは1928(昭和3)年11月13日に台湾南部の屏東県で生まれた。同年11月10日に昭和天皇の即位の礼が行われた直後であり、彼の父親から「昭和に栄える」という思いで「昭栄」と名前を付けられたと話していた。

第2次世界大戦中の43年、日本海軍の台湾特別志願兵第2期整備課に志願した。当時、台湾の貧しい家庭で志願兵となることは憧れであり、とても名誉なことであった。参加した戦争では約3万人の台湾出身の軍人軍属が犠牲となったが、戦後はその軍隊などの経験があだとなり、さらなる苦難の歴史が待ち受けていた。

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【日本による植民地時代は終わったが…】

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