週刊東洋経済 最新号を読む(5/16号)
東洋経済オンラインとは
ビジネス #対米投融資の「罠」

〈危ない対米投融資〉環境デューデリジェンス未了で走り出した国策融資の盲点、「民間スポンサー」の参画が今後の焦点に

7分で読める 有料会員限定
米エネルギー省のPortsmouth Siteにある旧ウラン濃縮関連施設 (写真:U.S. Department of Energy)

INDEX

日米両政府が合意した総額5500億ドル(約87兆円)に上る対米投融資が、ついに動き出した。

国際協力銀行(JBIC)は5月1日、対米投融資の第1弾となる3案件(ガス火力発電所建設、原油輸出ターミナル建設、人工ダイヤモンド製造施設建設)について、4月17日に貸付契約を締結したと発表。初回融資も4月下旬に実行された。

政府は当初、第1弾のプロジェクト総額(融資総額)が360億ドルに上ると発表していたが、「実際の融資総額は当初の想定を上回る見通し」(銀行関係者)だという。融資総額の3分の1はJBICが担い、残り3分の2はメガバンク3行が均等に実行する。つまり第1弾だけで、3メガ合計で3.8兆円以上の融資を実行する計算だ。

45日ルールが生んだ「見切り発車」

「今回の融資は本当に異例ずくめだった」。メガバンク関係者は2月18日の案件発表から融資実行に至る経緯をそう振り返る。

今回のようなプロジェクトファイナンスでは本来、1年~1年半程度の時間をかけ、収益性や契約条件、建設計画、環境影響などを検証したうえで融資実行に至る。しかし、一連の対米投融資では、米大統領が案件を決定してから45営業日以内に投融資を実行する「45日ルール」が定められている。

第1弾の45日ルールの期限は4月下旬。JBICやメガバンクは「プロジェクトの精査よりも、政治日程を優先する必要に迫られていた」(同)。

実際、どのプロジェクトも収入の裏付けとなるオフテイカー(需要家)や販売先などが未定または交渉中で、その契約内容も固まっていない。建設コストや建設スケジュールが不透明で、建設計画などの「妥当性検証」が完了していないプロジェクトもある。

前出のメガバンク関係者は「通常なら販売契約条件や妥当性検証を終えてから融資契約を結ぶ。今回は順番が逆だ」と指摘する。

その順番の逆転が、厄介な形で表れているのが「環境リスク」だ。

銀行が大規模なプロジェクトファイナンスを実行する際には、収益性や技術面だけでなく、環境・社会に与える影響も欠かせない審査項目になる。国際的なフレームワークである「赤道原則」などに沿って自らが定める「ESポリシー」(環境・社会に配慮した投融資方針)や「環境ガイドライン」に、そのプロジェクトが適合しているかを確認する必要があるからだ。

次ページが続きます:
【第1弾1号案件の建設候補地は濃縮ウラン製造所跡地】

2/3 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象