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「茶摘み」のため900km旅する中国の女性出稼ぎ労働者…発展から取り残された貧しい農村住民のリアル

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浙江省安吉県で茶摘みをする河北省出身の女性労働者たち(撮影:財新記者 鄭海鵬)

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3月25日午後、中国・河北省の南部にある邯鄲市の農村部の道路脇で、近隣の村々から集まった34人の女性労働者がバスの到着を待っていた。彼女らはこれから、約900kmも離れた浙江省安吉県へ“茶摘み”の出稼ぎに行くのだ。

一行のリーダーを務める陳利英さんは、4年前から地元の女性たちを率いて毎年浙江省に赴いている。彼女は(出稼ぎ労働者を雇用主に紹介する)斡旋業者と契約しており、集めた女性の人数を連絡すると、業者が迎えのバスを差し向けてくる。

女性たちの大部分は60歳代で、最年長は71歳。そのほとんどは、今回が初めての出稼ぎではない。

近隣の村々では地元の農繁期を除いて、多くの高齢女性たちがまるで“渡り鳥”のように中国各地を巡っている。3月から4月にかけては浙江省で茶摘み、5月は河北省の別の地域でニンニクの収穫、7月から8月は寧夏回族自治区や青海省でクコの実摘み、9月から10月は内モンゴル自治区でジャガイモの収穫という具合だ。

収穫期の労働力不足を補填

彼女らは家畜の飼料や化学肥料が入っていた袋に布団を詰め込み、出稼ぎ先まで持っていく。現地の食べ物が口に合わないのを心配し、インスタントラーメンや辛味調味料などを荷物に入れた女性もいた。

長時間腰をかがめる茶摘みは重労働だ。写真は最年長で71歳の女性労働者(撮影:財新記者 鄭海鵬)

バスは高速道路を南へひた走り、一昼夜かけて目的地の安吉県に到着した。ここは「安吉白茶」と呼ばれる中国茶の名産地で、県内の2025年の栽培面積は21万3600ムー(約1万4240ヘクタール)、年間生産量は約2630トン、年間生産額は41億8200万元(約970億円)に上る。

(訳注:安吉白茶は、40数年前に安吉県の山中で発見された、新芽が黄白色の茶樹をもとに作られた緑茶。渋みが少なく、フレッシュな香りが特徴とされる。福建省などで生産される微発酵茶の「白茶」とは品種や製法が異なる)

安吉県では茶樹の栽培面積を拡大する一方、短い収穫期に不足する人手を外地からの季節労働者で補っている。毎年4月上旬の清明節(訳注:先祖を供養しお墓参りをする中国の伝統的祝日。今年は4月5日)の前後には、河北省、河南省、山東省、安徽省などの貧しい農村部から大勢の出稼ぎがやってきて、山間部の茶畑で茶摘みに従事する。

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【粗末な小屋に2週間寝泊まり】

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