今やアメリカと競うAI大国となった中国で、AIの動作に不可欠な“計算資源”の不足が目立ち始めた。
稀宇科技の「MiniMax(ミニマックス)」、月之暗面科技(ムーンショットAI)の「Kimi(キミ)」、智譜華章科技の「智譜AI(ジープ AI)」など、新興企業が開発したAIモデルを中心にシステムの過負荷(によるレスポンス低下)やサービスの中断が頻発しているのだ。
「数ある新興AIモデルの中でも、MiniMaxの出力速度は相対的に速かった。しかし最近、『しばらく待ってから再度お試しください』というメッセージが表示されることが増えている」
ある企業でAIアプリケーションの開発にたずさわるエンジニアは、財新記者の取材に対してそう話し、多くの新興AIモデルで計算資源不足のサインが出ていると指摘した。
このエンジニアによれば、Kimiの使用中にも「ピーク時の計算能力が不足しています」というメッセージがたびたび表示されるという。
「業務が止まらないか不安」
中国企業の間では、業務プロセスを効率化するAIアプリを開発し、ワークフローに組み込む動きが加速している。それらのアプリは、AI開発企業が提供する「基盤モデル」をAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)経由で呼び出すことで動作する。
(訳注:基盤モデルは、大量かつ多様なデータでトレーニングされ、幅広いタスクに対応できるAIモデルのこと。用途別のAIアプリのベースになる)
「もし基盤モデルがダウンしたら、会社の業務がすべて止まってしまうかもしれない。今は毎日それを心配している」。前出のエンジニアは、不安な心中を隠さない。
計算資源不足に起因する基盤モデルの不安定さは、このエンジニアがAIアプリ開発を通じた会社のワークフロー再構築のさらなる推進を躊躇する要因になっているという。
MiniMaxやKimiだけではない。中国の新興AIモデルの実力を世界に知らしめたDeepSeek(ディープシーク)でも、3月末に大規模なシステム障害が発生、サービスが12時間近く停止した。
計算資源が相対的に豊富な大手IT企業でも、余裕はなくなりつつある。
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【バイブコーディングが一因】
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