「ライバルより優れたAIモデルを開発しても、(計算資源不足のために)一部のユーザーにしか提供できない状況だ。一般ユーザーからのアクセスが増える春節(中国の旧正月)の連休期間には、非中核業務の計算資源をこちらに回してもらえないかと、社内の各部門と交渉した」
ITサービス大手の阿里巴巴集団(アリババ)で生成AIアプリ「千問(チエンウェン)」の運営にたずさわる関係者は、そう打ち明けた。
AIの基盤モデルはさまざまなタスクに対応できるが、中でも計算資源不足の影響が顕著なのが(人間がコードを書くかわりにAIに指示してプログラムを作成する)「バイブコーディング」の分野だ。
有料サービスの1つとして「コーディング・プラン」を提供している智譜AIは、4月13日、計算資源の逼迫を理由にユーザーへの返金に応じると発表した。希望するユーザーに対して、(前払いした料金の)4月17日時点の残高に応じて料金を払い戻すとした。
智譜AIの計算資源不足はすでに数カ月前から露呈していた。同社は1月末、コーディング・プランの(API利用枠の)販売について1日当たりの上限をそれまでの5分の1に引き下げると発表。2月には有料プランの基本料金を少なくとも30%値上げし、3月には基盤モデルの新バージョン「GLM-5-Turbo」のリリースに合わせてAPI利用料の20%値上げに踏み切った。
アリババもテンセントも値上げ
しかしそれでも、急増する計算需要にシステムの処理能力が追いつかず、大規模な出力遅延が発生。ユーザーの不満が高まり、返金対応を取らざるを得なくなったもようだ。
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