「このままでは退任が迫ってくるだろう」「君の怠慢たる人間性が主因だと思うがな!恥を知るべきだ!」「怒りがこみ上げてくる! 前年比減収減益はありえない」──。
ニデックの不正会計問題を調査した第三者委員会の調査報告書には、こうした恐ろしい言葉がずらりと並ぶ。これらはいずれも、ニデックの創業者である永守重信氏が経営幹部に浴びせたものだ。
無謀ともいえる予算や目標
長らく株価至上主義を掲げていた永守氏は、市場受けする「2030年度に売上高10兆円」「営業利益率10%未満は赤字」といった無謀ともいえる予算や目標を設定。未達に終わった場合、役員をはじめとする幹部に容赦なく罵詈(ばり)雑言を浴びせて叱責した。
しかもだ。こうした電話やメールは深夜にまで及び、送られてくるメールのCC欄には多数の経営幹部が入れられ“公開処刑”さながらだった。それでも気が収まらなければ、人事権をちらつかせ退任を迫った。
こうした永守氏に、幹部らは萎縮した。あるグループ会社の社長は、別の幹部に送ったメールで「(代表から)1時間おきにメッセージが入り、挙げ句の果てにはやる気がないなら退場しろと言われております。これが地獄っていうやつですかね」と記していた。
一部には、異を唱えようとした者もいた。24年度に岸田光哉社長が永守氏に対して、別記事で述べた「負の遺産」処理の実行を進言。だが永守氏に却下されると、心が折れてしまったのか、それ以上の抵抗は試みなかった。
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