3つの信頼シグナルに加えて、内村光良にはもう1つ、決定的な強みがある。「繰り返し接触による信頼の蓄積」だ。
心理学では、同じ人の顔を繰り返し見るほど、好感と信頼が自然に増すことが知られている。
内村が出演する人気長寿番組といえば、27年で20周年を迎える日テレのバラエティ『世界の果てまでイッテQ!』だ。MCとして、毎週、視聴者の居間に登場し続けてきた。ロケを担当する若手タレントたちを見守り、温かく支える姿を、視聴者は何百回と見てきた。
その積み重ねが、内村の顔に「信頼の蓄積」として刻み込まれている。
内村の持つ顔の力が与える「0.1秒の信頼」は強力だ。それが約20年もの繰り返し接触によって強化されたとすれば、その信頼感がどれほど根深いものか、想像できるだろう。
謝罪や制度改革では上書きできなかった視聴者の「不信感」は、脳に刻まれた感情記憶だ。これを書き換えるには、同じく脳に深く刻まれた「信頼の記憶」を持つ顔を、番組の顔として立てるしかない。
内村光良は、その条件を唯一満たす人物だったのかもしれない。
政治や企業も「“信頼顔”の危機管理」は最良の策か
この「顔による危機管理」という構造は、他の世界でも繰り返し確認されている。
わかりやすい例が政治だ。
25年に誕生した高市早苗首相は、「強硬派」というイメージを長年持たれてきた政治家だ。しかし首相就任後、街頭演説での柔和な笑顔、丁寧で穏やかな語り口が繰り返しメディアに映し出されることで、「信頼顔」の印象が有権者の脳に刷り込まれ、政権発足直後から予想外に高い支持率を維持した。
強硬な政策への是非とは別に、顔から受ける信頼シグナルが支持率を下支えしたのだ。
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【「どんな顔で語るか」によって左右される】
