なぜ一手となるのか。「見た目の科学」の視点から分析すると、「内村光良の顔」には、大きな力がある。今回のキャスティングは単なる好感度や知名度の問題ではない。むしろ、言葉や制度では絶対に届かない場所に直接届く、脳科学的に見て最良の危機管理策になる可能性がある。
前述の通り、近年、「24時間テレビ」は立て続けにスキャンダルに見舞われた。
そして、それ以前から渦巻いていた「感動の搾取」「やらせではないか」「チャリティーなのになぜタレントにギャラが出るのか」という批判の声も、年々高まっている。
もちろん日本テレビは対策を打っている。24年の放送では番組冒頭で謝罪し、寄付金管理の体制を見直した。チャリティーマラソンのランナーも、批判の少ない人選に切り替えた。
しかし、効果は限定的だった。
25年にも、番組制作発表会で改めて謝罪を行った。だが「表面的な謝罪で本質は変わっていない」という批判はやまず、SNSでは放送前から「視聴率低下」「番組終了論」が飛び交った。
瞬間最高視聴率は21.1%と数字の上では一定の回復を見せたが、番組への根本的な不信感が払拭されたとは言いがたい状況だった。
まだ足りない。番組への信頼を取り戻す何かが必要だ。
それは何か。その答えが、「見た目の科学」から浮かび上がってくる。
そして日テレが選んだ「顔」という一手
人間の脳は、言語的な情報よりも、顔から受ける視覚的な信頼シグナルを優先して処理する。
心理学者のトドロフ氏らの実験では、初めて見る顔への信頼性の判断は、わずか0.1秒で完了することが示された(※1)。しかも、その瞬時の判断は、じっくり時間をかけて行った判断とほぼ一致する。
次ページが続きます:
【顔は、言葉や実績を超えた影響力を持つ】
