興味深いのは、この問題が特に「優秀な人」に強く現れる点である。優秀な人ほど、
・論理的に考える力が高い
・リスクを精密に評価できる
・矛盾のない判断を志向する
その結果、
既存のセオリーの中で、より整合的な思考を行う。
しかしこれは裏を返せば、
セオリーそのものを疑う機会が減る
ということでもある。結果として、
・思考は洗練される
・しかし、前提は固定される
という状態に陥る。
学習する組織とは何か
キムが提示する「学習する組織」とは、この問題を構造的に乗り越える仕組みを持つ組織である。その本質はシンプルである。
行動とセオリーが往復する構造を持っていること
である。
この循環が回ることで、組織は環境変化に適応し続ける。逆に、この循環が止まると、
・行動は繰り返されるが学習は起こらない
・経験は蓄積されるが意味は更新されない
という状態になる。
では、この循環がうまく回っている組織とはどのようなものか。典型的なのは、製造業における継続的改善の現場である。たとえば、ある工場では、不良が発生した際に単に対処するのではなく、次のプロセスを繰り返している。
次ページが続きます:
【セオリーの更新だけが、学習を生む】
