週刊東洋経済 最新号を読む(5/16号)
東洋経済オンラインとは
ライフ

若者がハマる性格診断「MBTI」の落とし穴 ネットの無料版は別物? 心理学者が説く"気軽に受ける"ことの危うさ

7分で読める
MBTI
流行しているオンラインの性格診断はどれくらい信頼できる?(写真:ilixe48/PIXTA)
  • 小塩 真司 早稲田大学文学学術院教授
2/4 PAGES

私はもちろん「MBTI」というものが心理学の歴史のなかで存在しており、アメリカを中心に広く知られていることを、知識としては知っていました。しかし、日本で突然、このキーワードが広まっていったことを不思議に思ってもいました。

MBTIというのは、Myers-Briggs Type Indicator(マイヤーズ=ブリッグズ・タイプ指標)と呼ばれるパーソナリティ(性格)を診断するツールです。ブリッグズとマイヤーズは母と娘で、精神分析学者ユングのタイプ論から着想を得て、独自の枠組みで診断ツールを構築していきました。

MBTIは1940年代から開発が始められ、1960年代以降にアメリカ国内で広まっていきました。特に、企業研修やキャリア開発といった現場で広く利用されてきた歴史があります。

アメリカの心理学者(特にパーソナリティ心理学者)たちは、よくMBTIを批判しており(国内で流行しているのですから、これも当然でしょう)、書籍にも頻繁に取り上げられます。

現在では、アメリカでも日本でも、MBTIを取り扱う専門の協会が設立されており、その団体がMBTIの管理・運営・実施を行っています。

質問だけでは性格はわからない

協会が提供するMBTIは、質問項目に答えてその結果「あなたはこのタイプです」と結論が出されるものではありません。

いったん質問項目に対して回答を行うと、「あなたはこのタイプです」という結果は出てくるのですが、そのあとに専門家の管理の下でグループのセッションを行い、話し合いやワークのなかで、本当に自分がそのタイプであるのか、周囲の人がどんなタイプであるのかを理解し、納得するプロセスを踏んでいきます。

そのうえで、「やはり自分はこのタイプだ」「この人にはこんな一面があるのか」と納得することで、自己理解や他者理解を深めていきます。

この、質問紙への回答と診断、そしてグループセッションという「全体」が、MBTIという一連の営みなのです。

心理学の歴史のなかで、MBTIが無視されてきたわけではありません。批判はあれども、パーソナリティ心理学の理論の中にも、MBTIの考え方が影響を与えてきた形跡は確かに残っています。

次ページが続きます:
【そもそもそれはMBTIなのか?】

3/4 PAGES
4/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象