次に「マーケティング」。ゲームがどう遊ばれているのかを解析してゲームの改善や販売に活用する、というパターンだ。特にモバイルゲームでは一般的な手法で、PCや家庭用ゲーム機向けでも定着しつつあるという。
最後が「プレイ体験」。おしゃべりスラミィはこの領域での対応に属する。ゲームの中身を変える本質的な試みではあるが、まだまだ事例は少なく、新しいアイデアが必要とされている領域でもある。
ゲーム業界の危機対応にAIは必須の存在
ビューザー氏はAIの活用を、「30年前にゲームが2Dから3Dに変わった時と同じくらい大きなインパクトだ」と話す。それは、おしゃべりスラミィのような「AIでないとできない新しい要素」を組み込んでいくことがエキサイティングであるから……という話でもある。
ただより大きいのは「ゲーム業界が危機を迎えているから」(ビューザー氏)だ。
ビューザー氏によれば、21年以降、ゲームメーカーの収益性は年率7%ずつ落ち、「ビジネスモデル崩壊の危機にある」という。レイオフもゲームスタジオの閉鎖もこれが理由だ。
「世界全体のプレイ時間の半分以上が、発売から6年以上経過したゲームに費やされています。そして、新しいゲームの開発コストは17年からほぼ倍増しています。つまり、スタジオは過去の半分以下のプレイ時間を獲得するために、2倍のコストをかけている状況。これこそ、ビジネスモデルが破綻しつつある理由です。ビジネスを立て直すには、AIは、これらの課題を軽減できるだけの成熟度に達しています」
ゲーム開発のコストを下げ、より新しいトライアルができる体制を作り上げることは急務だ。そして同時に、新しい体験を作ることは、ゲームの魅力を高めるために必須のことである。ゲーム業界にとってのAIは、「アーティストの代わりをする」ような用途ではなく、それ以外の部分で必須の要素になろうとしているのだ。
