権威主義や独裁国家ならともかく、まともな民主主義国家の指導者がキリスト教のカトリック教会の頂点に立つローマ教皇を批判するのを見たことはない。
カトリックは平和や人権、自由の大切さなど誰もが否定のしようがない道徳や倫理を説き、世界150カ国に14億人の信者がいる巨大な組織だ。こんな組織にけんかを吹っかければどうなるか。日々の問題の対処に追われる世俗世界の指導者はとても勝負にならないと考えるだろう。
ところが例外が登場した。アメリカのトランプ大統領である。
神やキリストを引き合いにイラン戦争を正当化
先鋒を切ったのはヘグセス米国防長官だった。2月末にイラン戦争を始めて以後、ヘグセス氏は「全能の神がこの戦いでわれわれの部隊を祝福し続けてくださいますように」などと、しばしば聖書を引用したり神やキリストに言及しながら、戦争を正当化する発言を繰り返してきた。
トランプ大統領も思うような成果をあげられないいらだちからか、「文明全体が今夜滅び、二度と復活することはないだろう」「(イランを)石器時代に戻す」という世界中から批判を浴びる投稿をした。
これに対してローマ教皇のレオ14世が「宗教、神の名を自らの軍事的、政治的、経済的利益のために悪用し、神聖なものを闇と汚物に引きずり込む者たちに災いあれ」「イエスは戦争を仕掛けるものの祈りには耳を傾けない」とかなり直接的な表現で批判した。
この記事は会員限定です
残り 2527文字
