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自維連立発足から半年、豊中市長選の大敗で露呈した維新・吉村代表の独断専行が招く「高市・吉村共倒れ」の最悪シナリオ

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高市首相と吉村代表
維新の吉村代表(右)にとって高市首相(左)との信頼関係が連立維持の命綱だ(写真:ブルームバーグ)
  • 泉 宏 政治ジャーナリスト
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もともと、副首都構想が今回の市長選の争点になったのは、吉村氏が4月1日の記者会見で、同構想の住民投票の対象地域を、過去2回の「大阪市内」だけでなく、「大阪府全域」とすると発言したためだ。

吉村氏はこの記者会見で、自民党と維新が合意した副首都構想の関連法案の骨子に関して、「大阪府が副首都を目指し、名称を『大阪都』に変更するのであれば、構想の賛否を問う住民投票の対象地域は『府全域』になる」と説明。これを踏まえて、その直後に実施された豊中市長選が「住民投票の前哨戦」(維新幹部)となった。

唐突な「ダブル選」でグラつくおひざ元

だが、予兆は2カ月余り前にすでにあった。今年1月に高市首相が衆院解散を決断した際、吉村氏と維新の副代表でもある大阪市の横山英幸市長は任期途中で唐突に辞職し、2月8日の衆院選と同日投開票となる「大阪都構想への再挑戦への信を問う」とする府知事・市長選の「ダブル選」に打って出た。 

大阪ダブル選の街頭演説で手を上げる日本維新の会代表の吉村洋文氏(左)と同副代表の横山英幸氏(写真:時事)

これに対して、自民党をはじめとする既成政党は候補者を擁立せず、大量の無効票が出る中、吉村・横山両氏が当選した。ただ「当選しても、任期は来年春の統一地方選までで変わらない」こともあり、ダブル選にかかった約28億円とされる選挙費用に府民からは「全税金の無駄遣い」との批判が噴出した。

当選後、吉村氏は「副首都構想に挑戦することに一定の信を得た」として、いったんは府知事の任期が終わる来年4月までに住民投票をする意向も表明。併せて、同構想が住民投票で可決されれば、来春の府知事の任期切れに合わせて、改めて国政復帰に挑む考えも示したとされる。

これに反発したのが大阪市の維新市議団だった。23年の市議選で都構想を掲げて当選したのではないことから、「来年の統一地方選で都構想を公約に掲げたうえで再挑戦すべき」「吉村氏が国政に進出するなら、住民投票は次の知事がやればいい」などと主張。吉村氏らが副首都構想の具体的な制度設計を進めるための法定協議会設置を急ぐことに、真っ向から反対した。

こうした維新内部のゴタゴタについて、自民党には「吉村氏は統率力を失っており、今後の展開次第では、自民党としても維新との連立を見直す必要がありうる」(執行部)との声が出始めている。

これに対して、高市首相サイドは「高市さんと吉村さんとの緊密な連携が、政権安定の重要な要素」(側近)と繰り返す。だが、国会終了後の人事断行も現実味を帯びる中、政界関係者の間でも「今後の対応を誤ると、『高市・吉村共倒れ』のきっかけにもなりかねない」との厳しい指摘が出始めている。

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