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アップル15年ぶりCEO交代の真意、エンジニア主導で変わるものと変わらない成長モデルの核心

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ジョン・ターナス氏
アップルの新CEOに就任が決まった、同社ハードウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデント(現)のジョン・ターナス氏(写真:Adam Gray/Bloomberg)
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スマホ時代のハードウェア作りのルールを作ったのは、サプライチェーン・マネジメントの達人であるクック氏であり、アップルの成長もそれに支えられている。

別の言い方をすれば、「超量産から生まれる差別化というものづくりに支えられたアップル」を生み出したのが、クック氏の功績である。これは、製造業の経営に関する教科書に必ず載るであろう、極めて大きな変化だった。

CEOだけでなく「CHO」に注目すべき理由

アップルはプラットフォーマーだが、「多くの人が欲しいと思うハードウェアを売る」ことから利益を得ている会社でもある。ソフトウェアもプラットフォームも、ハードウェアを魅力的にするための要素だ。

クック氏が推し進めたこの路線は、ターナス氏の世代になっても変わらない。ハードウェアの責任者が会社の責任者になるということは、今後もアップルの本質が「高い付加価値のあるハードウェア」であり続ける、ということである。

同時に大きな意味を持つのが、ハードウェアテクノロジー担当シニアバイスプレジデントであるジョニー・スルージ氏の人事だ。スルージ氏は新たに「チーフ・ハードウェア・オフィサー(CHO)」となり、ハードウェアエンジニアリング全体を統括する立場になる。

スルージ氏は08年にアップルに入社。iPhone向けに作られたアップル初の独自半導体である「A4」の開発を指揮した。

今のアップル製品は、差別化要素の多くを、俗に「Appleシリコン」と呼ばれる独自半導体に依存している。消費電力の低さと性能のバランス、高速なメモリーを生かした効率の良い動作などが特徴だ。

自社製品のための半導体を設計・製造するのはコストがかかる。年間数億台規模で生産する「超量産」が前提だからこそ、コストメリットが出てくるやり方だ。これもまたクック氏の路線につながる。

今後も半導体性能は大きな意味を持つ。AIを効率的に処理するには、より性能が高い半導体を、コストを抑えつつ生産していくことが重要だ。さらに、携帯電話網での通信チップやヘッドホンの制御チップなど、自社製品で使う半導体の自社開発を進め、コストと性能での差別化を目指している。

次ページが続きます:
【これからのアップルに求められているもの】

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