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4月22日に3月の貿易統計(速報値)が公表された。元商社エコノミストとしては興味津々であったのだが、この月の「原油及び粗油」の輸入量は1104万klで7474億円であった。うち中東からの到着分が1045万klで7065億円と、全体の約95%を占めている。いつもと同じ傾向であって、ホルムズ海峡封鎖の影響は少なくとも3月分のデータには表れていないようである。
5月に発表される4月貿易収支は一時的な円高要因に!?
おそらく2月28日の開戦以前に日本に向かっていたタンカーが、順調に入港して積み荷を降ろし、通関手続きが行われたのであろう。ここまではノープロブレム。ただしこれが4月分ともなると、いよいよ中東からの船は来なくなり、国内の石油需要はかなりの部分を備蓄の取り崩しで満たしていたことになる。
この場合、当然のことながら通関手続きは不要であるし、石油代金の支払いは外貨ではなくて円で行われることになる。鉱物性燃料の輸入は減るから、その分、貿易収支は黒字化するのではないか。ひいては円高要因となるかもしれない。
もっともこの貿易黒字は一過性のものとなるだろう。石油備蓄は減った分をまた補充しなければならず、いずれ今回の危機が収拾された後に政府が購入することになる。それは将来の貿易赤字、あるいは円安の可能性を意味することになる。しみじみ、事態の早期沈静化を祈らずにはいられない。
3月の貿易統計をよくよく見たら、明らかに変調が起きていたのは中東向けの輸出であった。実に前年比45.9%減の2257億円となっている。3月全体の輸出額11.0兆円から見ればごく小さな金額だが、確かに今の中東諸国はこんなときに日本製のクルマ(輸入全体の7割を占める)を買っている場合じゃないですわな。
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【世界が平和であってこその「貿易立国・日本」】
