NHKの連続テレビ小説「風、薫る」がスタートした。日本の看護師のパイオニアとなった大関和(おおぜき ちか)と鈴木雅(すずき まさ)を主人公のモチーフとしている。時代は、明治。医療の現場は男性のもので、女性が医療分野の仕事に就くことへ理解がまだなかった頃のことである。看護の世界に飛び込んだ二人はいかにして、日本近代看護の礎を築いたのだろうか。著述家で偉人研究家の真山知幸氏が解説する。
明治維新後も教育制度で「格差」はあった
NHKの連続テレビ小説「風、薫る」では、大関和(おおぜき ちか)をモチーフとした一ノ瀬りん(演:見上愛)と、鈴木雅(すずき まさ)をモチーフとした直美(上坂樹里)が、それぞれ別の生活を送りながら、やがて看護婦の養成学校で切磋琢磨する日々を送ることになる。
看護の世界に飛び込むまでの2人をどう描くかが、今回のドラマの見所の一つだ。
りんが、卯三郎(坂東彌十郎)の店「瑞穂屋」で働く一方で、もう一人のヒロインである直美は身分を偽って、鹿鳴館の給仕として働くことになった。
直美が英語を生かして鹿鳴館で働きながら、結婚相手を探していると、ほどなくして海軍中尉・小日向栄介(藤原季節)とデートをすることに。その帰り際、栄介から交際を申し込まれると、思わず唖然としてしまう。寂しげに「こんなに簡単なんだ。お嬢様だと奥様になるの」と、つぶやいたのが印象的だった。
だが、実は、この小日向も身分を偽っており、女性に近づいては衣食住の面倒をみてもらうような詐欺師だった。直美に近づいたのは鹿鳴館に入るためで「中に入って、金持ちで暇な華族のおばさまでも何人か見つけたらしばらく食いつなげる」と言い放った。
心情や動機は違えど、直美も小日向も、何とかして華族に近づこうとしていた点では、同じ。それだけ恩恵があると考えていたからだろう。
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【「四民平等」が謳われたはずの明治】
