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不登校だった高校生が青森からフィンランドへ!「心が軽くなった…」探究学習で見た、日本の教育との決定的な違いとは?

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日本の生徒とフィンランドの生徒が教室で話をしている様子
フィンランドの生徒と対話をしている様子(写真:青森県立北斗高校提供)
  • 佐藤 智 ライター・教育コラムニスト
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1つ目は若者の目線になり若者に寄り添い考える時間を取ること、2つ目は困っている若者がアクセスできる方法を作ること、3つ目は専門家を活用し課題解決につなげていくこと、そして4つ目はいじめや不登校、家庭環境のことなど若者の課題やニーズに合ったワークショップを、定期的に実施することだ。

「同じでなくていい」が背中を押す

フィンランドでの体験はチーム北斗七星の生徒たちに大きな変化をもたらした。

「『同じでなくていい』という考え方が一番心に残っています。小学生の頃から、『同じにしなければいけないし、それが正解なんだ』と自分に言い聞かせてきました。でも、とても窮屈で。

フィンランドの高校では『3年間で卒業しないのも当たり前』と聞きました。3年で卒業することも、もっと時間をかけて卒業することも、どちらも“当たり前”なんです。

ほかの人と違うことが悪いことではなく、1つの当たり前として受け止められるのだと感じました。フィンランドに行ってからは、『大丈夫、他人と違ってもいいんだ』と思うようになり、心がすごく軽くなりました」

田中先生はフィンランド滞在を経て、生徒たちの表情が大きく変わったと語る。

「チーム北斗七星のメンバーはとても頑張る子たちです。これまではギリギリまで頑張りすぎて苦しくなってしまうことが多かった。けれど、今は『自分はこれが得意だからこれをやる。ほかの部分を任せたい』といったポジティブに諦める選択もできるようになっていきました」

「ポジティブに諦める」は、フィンランドでガイドをつとめたひとりヒルトゥネン久美子さんの言葉だという。「自分ができないこと、足りないことを隠さずに受け入れていく。ダメは“ダメではない”」という意味を持つフィンランドで学んだ言葉だそうだ。今では、この言葉をチーム北斗七星のメンバー全員が大切にしている。

フィンランドへの挑戦は進路にも大きな影響を与えた。「自分の決定に自信を持って生きていきたい」と語るチーム北斗七星のメンバーたち。「就職すればよい」と進路について深く考えてこなかった生徒が「もっと学びたい」と進学を選んだり、教育関係の仕事に興味を持って学習をスタートさせたりしている。

フィンランドでのフィールドワークを通じて、「人の役に立ちたいと生徒が言うようになった」と田中先生は語る。実際に生徒からも “昔の自分”を支えたいという言葉が聞かれた。チームメンバーの1人は、今後の目標を語ってくれた。

「もし、私が不登校だったときにこのような活動をしている同世代がいることを知ったら、大きな励みになったと思うんです。自分と同じ不登校を経験したけれど、こんな活動ができるんだ、と。

だから、今は、私が悩んでいる小中学生の心のよりどころになれるように、フィンランドでの学びを生かして、みんなの居場所となるサタデースクールの活動を日本中に広げていきたいと思っています」

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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