端から端へ。橋から橋へ。天神橋を起点として長柄橋を終点とする天神橋筋商店街は、まさに八百八橋と呼ばれた水の都・大阪のシンボルだった。そして天神橋筋商店街は大阪を過去から未来へ橋渡しするアテンダントだ。ビジネス街からスタートし、最後の一軒がラブホテルだというのも、大阪の男と女が繰り広げたドラマのようで胸がアツくなった。
味付けが異なるおかずがたくさん並ぶ大阪
では、大阪とはどんな街なのか。天神橋筋商店街を歩ききり、大阪とは「松花堂弁当のような街だ」と感じた。「情にもろい」「お笑いが根付いている」「食べ物が安くておいしい」といった柔和な部分と、「せわしない」「粗野である」「立ちションして怒られる」といった主張が強い部分、それら大阪を構成する要素が、まるで仕切りがたくさんある松花堂弁当のように少しずつ並んでいる。薄味からピリ辛までさまざまなテイストがあり、トータルとして「おいしい」弁当になっているのだ。
この並んだおかず一つだけを取って「大阪とはこうだ」と主語を大きくすると、「嘘ではないが誇張である」というふうになってしまう。
たとえば、大阪では日本維新の会の支持率が他都市に比べて圧倒的に高い。「吉村さんはシュッとしてはるから」と大阪府知事へ向けられる視線も熱く、彼が人前に姿を現すと黄色い歓声があがる。そんな知事は他の都道府県にはいだろう。
では、維新の宿願である大阪都構想がすんなり受け入れられるかといえば、これがさにあらず。何度住民投票をしてもピシャリと否定されてしまう。大阪人の思考は松花堂弁当のように仕切りの縁が高く、「それとこれとは別やねん」なのだ。政治家は支持されているのに政策が支持されていない。人気があるのにコントロールできない不思議な大阪人たちに維新自体も頭を痛めているのではないだろうか。
天神橋筋商店街は、大阪の細分化を可視化できる、言わば歩けるカタログだった。そして「大阪のすべてが好きではないけれど、この部分は自分にマッチする」、そんなふうに大阪との接し方を学べる教育機関でもあると感じた1日だった。大阪は意外と繊細で面倒くさい街だが、これからも向き合っていこう。
前編:「ヒョウ柄おばちゃん」て本当にいるのんか?大阪人歴40年、今は京都の筆者が「大阪最長商店街」2.6km歩いて見たリアルな姿
