「おごってはいけない」――。スズキの鈴木俊宏社長が、この1年ほどで口癖のように言うようになった言葉だ。
2025年の世界生産台数でスズキは342万台と、ホンダ(339万台)や日産自動車(295万台)を上回り日系メーカーで2位となった。巨額赤字に陥る両社が構造改革に時間を取られる一方、スズキはインドの生産能力を現在の260万台から400万台へと大幅に増やす計画だ。今後さらに差が開いていくことが予想される。

ある大手自動車メーカーの幹部は、「これまではTNH(トヨタ自動車、日産、ホンダ)が長年の業界の序列だったが、これからはTS(トヨタ、スズキ)の2強時代。それほどインド市場を制する今のスズキは安定している」と評する。
それでも鈴木社長は「おごってはいけない」と周囲に語り、社内を引き締める。「他社が構造改革を進めるのを見て、むしろ危機意識を高めているようだ」。鈴木社長に近い幹部はそう語る。いまのスズキの堅実経営はいったいどこから来ているのか。
5年前は不安視された経営
今でこそ盤石なスズキだが、実は5年前には社内外で経営の先行きが不安視されていた。
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