ところが、P / Lはちょっと異なる計上をします。税務署は、このパソコンは5年で償却しなさいというルールを提示しています。そうすると、なぜかP / Lでは、第1期に50 万円を5年間で割った10 万円だけを計上し、第2期10 万円、第3期10 万円、第4期10 万円、第5期10 万円、と5回に分けて費用計上します(定額法の場合)。
なぜこんなことを税務署はさせるのかというと、もし1期目に一気に費用計上を認めてしまうと、仮に儲かっている企業がパソコンをこの期にたくさん買えば、費用を大きくすることで利益を圧縮でき、その結果、税金の支払い額を小さくすることができてしまいます。そうなれば、税務署は税収が減りますから、このパソコンの耐用年数は5年あるだろうから、5年に分けて費用計上せよ、と七面倒なことをやらせるわけです。
しかし、ここで問題が生じます。本来、この会社のキャッシュフローは第1期に50 万円を使用して、第2期以降はお金の支払いはしていない。にもかかわらず、第2期以降は毎期10 万円ずつP / Lの利益は過少に見えています。
こうなると、当該企業の毎期の利益は、P / L上でのキャッシュフローに大きく差が発生する場合があるために、その企業がキャッシュを本質的に生み出す能力を見るうえでは、P / Lではなくキャッシュフローを見るべき、という考えが定着していったわけです。
あなたが、おそらくどこかで聞いたことのあるEBITDAという利益概念。これも、このキャッシュフローに近い数値をP / L上から簡便に導き出す指標です。具体的にいえば、EBITDAはEarnings Before Interest, Taxes, Depriciation, and Amortization の頭文字を取ったもので、日本語に訳すと「税前、利払い前、減価償却前の利益」という意味です。
〇〇前、というのが分かりにくいと思いますが、要は、P / Lの利益から、先ほどのキャッシュフロー上でズレてしまっているものを、ちゃんと足し戻したり引き戻したりして調整したキャッシュフローに近似する利益のことをこういっている、と理解いただければ十分かと思います。
DCFはこじつけ?
話をもとに戻しますが、DCF法とは、このキャッシュフローから会社の価値を導き出そうとするもので、M&Aなどに用いられる手法です。
辞書によれば「DCF法とは、企業価値評価法の1つであり、事業計画等から企業の将来のキャッシュフローを算定し、それを現在から見た価値に修正する評価方法。キャッシュフローをリスク等を勘案した割引率により、現在価値から割り引いて評価数を計算するため『割引キャッシュフロー』『割引現金収支法』と呼ばれることもある」とされています。
これを簡単にいってしまえば、「企業価値を測る際に、将来のキャッシュフローを現在価値に計算し直して考えましょう」ということです。
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