こうしたすれ違いは他にもある。二人で会っているときに右樹さんが自分の飲み物だけを買うことも、ハナさんは気になった。
「韓国では二人でいるときに飲み物を買うなら、相手の分も買ってあげるのが普通です。でも、彼は自分の分だけ買うのでびっくりしました」
逆に右樹さんは、ハナさんが会うたびにお菓子をくれたり、回転ずしで2貫出てきたおすしのうちの1貫を自分のお皿に置いてくれることに驚いた。
「韓国は、親しい人とシェアする文化なんだと知りました」
モヤモヤしていることを言わなければ…
ハナさんは、自分が重そうなカバンを持っていても、右樹さんが持ってくれないことも不満だった。当時の韓国では、女性のカバンを男性が持つのは当たり前のことだとされていたからだ。こんなすれ違いが重なっていくにつれ、ハナさんは「自分がモヤモヤしていることをちゃんと言わなければ」と考えるように。
「彼に悪気があるわけではなく、文化の違いであることはわかっていました。でも、文化が違うからしょうがないとそのままにしていたら、私はいつか彼のことが嫌いになってしまう。そうしたら彼は理由がわからないまま、私と別れることになる。だから彼に伝えなければと思いました」
とはいえ、ハナさんは「カバンを持ってほしい」と右樹さんに要求するのも嫌だった。そこでこんな伝え方をしたという。
「あなたは私より背が高いし、力もある。日本では自分の荷物は自分で持つことが当たり前なことは知っているよ。でも、あなたが自分より力がない人や、大変そうな人の荷物を持ってあげたら、とても感謝してもらえると思う。今後は私だけじゃなく、周囲のみんなにそうやってあげてほしい」
右樹さんもそれに同意して、それからはハナさんのカバンを持ってくれるようになった。後輩の女性の荷物も持ってあげるようになり、右樹さんは後輩からもモテたそうだ。
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【二人だけの国際法】
