だからこそ、必要なのが、
「どう使うと安全なのか」
「どう使うと自分の学びにつながるのか」
「どんなことを聞いてはいけないのか」
という「基本」です。こうした基本を知らずに使うのは、自動車でいう無免許運転のようなものです。
無免許運転状態から脱し、基本を理解し使うことで、AIは、「宿題を早く終わらせる魔法のツール」といった枠をはるかに超えて、子どもの学びをしっかりと支えてくれる、頼もしい存在になり得るものなのです。
本当に宿題にAIを使っているの?
「子どもが宿題にAIを使っているというのは、ピンときません。うちの子は使わずに、自分でやっていると思います」
私は今、文部科学省の学校DX戦略アドバイザーや学校、自治体のアドバイザーとして、AIリテラシーの授業のあり方を先生たちに見ていただくための出前授業を、年間で100回以上行っています。その際に子どものAIの使い方について触れると、このような声を聞くことがよくあります。しかし、実際に子どもたちにアンケートをとったり、直接質問をしたりしてみると、
「とりあえず写真を撮って答えだけ出してる」
「『なんて書けばいいか考えて』って頼むと全部作文をつくってくれる」
と、それなりの割合の子が「便利さだけ」を頼りにAIを使っていることがわかります。
スマホやタブレットの画面の向こうでは、24時間いつでも、何度でも、AIが丁寧に答えを教えてくれます。写真を撮れば数秒で、解き方付きの答えを出してくれるアプリもあります。
便利なAIやアプリがあるからこそ、それらを使うことに慣れてしまう前に、
「これは本当に正しい情報かな?」と一度立ち止まる習慣をつけたり、
「どこまで自分で考えて、どこからAIに相談するか」という線引きをしたりする必要があるのです。
「できるだけ早く正解に辿(たど)り着く」ことが最優先になり、考えるプロセスがすっぽり抜け落ちてしまいがちだからこそ、ここには大人の関わりが不可欠です。
AIを怖がるのでも、美化するのでもなく、「安全に目的地まで辿り着くための使い方」を、家庭のなかで少しずつ身につけていけるようにすること。これこそが今、大人に求められている役割だといえるでしょう。

