同作は、鈴木おさむ氏の小説『芸人交換日記 ~イエローハーツの物語~』(太田出版)をもとに作者本人が脚本・演出を務める形で舞台化されている。お笑いコンビ「イエローハーツ」を演じるのは、オードリー・若林正恭と俳優の田中圭。売れないまま30歳になったふたりが、そんな状況を打破するべく交換日記で本音をぶつけ合うストーリーだ。
当時、筆者はドラマシナリオを学んでいたのだが、ちょうどこの頃から「お笑い芸人」を主人公に据えたコンクールの応募作品が増え始めたのを覚えている。00年代に『M-1グランプリ』や漫画『べしゃり暮らし』(集英社)などによって切磋琢磨する若手芸人の存在が世間で身近なものとなり、“ドラマの素材”として汎用性が高いと認識されたタイミングだったのだろう。
その後、ピース・又吉直樹の小説を原作とする16年の『火花』(Netflix)をはじめ、劇団ひとりが演出を務めて話題となった19年の『べしゃり暮らし』(テレビ朝日系)、売れないお笑いトリオにまつわる群像劇をユニークな構成で描いた21年の『コントが始まる』(日本テレビ系)など、若手芸人にまつわる物語はドラマの定番となっている。
トレンディーからシリアスへ移行した時代
テレビドラマは時代の推移が反映されやすい。とくに1990年前後のドラマと経済は、驚くほど呼応している。トレンディードラマはフジテレビ系列の『君の瞳をタイホする!』(1988年)から『東京ラブストーリー』(91年1月期)をピークに潮目が変わり、翌年以降は男女の友情を描いた『愛という名のもとに』(92年)や社会的なタブーにスポットを当てたTBS系列の『高校教師』(93年)など、シリアスな作品へと主流が移っていく。
まさに『101回目のプロポーズ』(91年7月期)は、トレンディードラマの華やかさと泥臭い中年男性の悲哀や親しみやすさをミックスしたような特徴があり、バブル景気のピークと終焉のタイミングとも重なっていた。
その続編を鈴木おさむ氏が企画し、現代の若年層から支持される芸人・せいやが主人公を演じる。個人的には、そんなところにも感慨深さがあった。
