かねて、お笑いタレントが映画やドラマで主演を務めるのはスターの証だった。映画が盛況した時代は、ハナ肇とクレイジーキャッツ、コント55号、ザ・ドリフターズらの主演作が何本も上映され、コメディアン出身の渥美清らが“銀幕スター”として活躍した。
1970年代にカラーテレビの普及率が90%を超えると、みるみるテレビドラマの注目度も上昇していく。NHK朝の連続テレビ小説『おしん』(83年~84年)の平均視聴率は驚異の52.6%。そんな中、86年に放送された明石家さんま主演の『男女7人夏物語』(TBS系)は、新たな時代を象徴するようなドラマだった。
前年にドリフターズの『8時だョ!全員集合』(同系)が終了し、“視聴率100%男”と称された萩本欽一が充電目的から全レギュラー番組を降板。その翌年、さんまは“トレンディードラマの元祖”とも言われる『男女7人』シリーズの顔になり、88年にヒロインの大竹しのぶと結婚(後に離婚)している。
ビートたけしや片岡鶴太郎ら『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)のメンバー、また早くから頭角を現したとんねるずも映画やドラマで活躍したが、公私ともに世間を賑わせ“浮ついたバブル景気の狂騒”を体現するさんまの存在は特殊だった。
90年代に入ると、森脇健児が『逢いたい時にあなたはいない…』(フジテレビ系)をはじめとする多くの作品に登場し、ダウンタウン・浜田雅功が『人生は上々だ』(TBS系)や『竜馬におまかせ!』(日本テレビ系)で主演、ウッチャンナンチャン・内村光良が『生かし屋という男』(テレビ朝日系)で脚本・監督・主演を務めるなど、お笑いタレントの需要が増していく。
2000年、ダウンタウン・松本人志と中居正広のダブル主演作『伝説の教師』(日本テレビ系)が大きな話題に。同年放送の『編集王』(フジテレビ系)ではネプチューン・原田泰造が主演を務め、その後も俳優として存在感を増していった。
“現代の若手芸人の日常を描いた作品”も増えた
11年に上演された舞台『芸人交換日記』は、“現代の若手芸人の日常を描いた作品”として別ベクトルでテレビドラマに広がりを与えたように思う。
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【若手芸人にまつわる物語はドラマの定番に】
