また、すぐに離職するよりは、休職に追い込まれる人が少なくない。精神疾患で休職する教員数では20代が急増している。以下は年間で1カ月以上休職する人の数だが、休職や離職までいかなくてもしんどい思いをしている人はもっといる。
「TALIS(OECD国際教員指導環境調査)2024」によると、5年以内に教職を離れる可能性があると回答した30歳未満の教員は、日本では約20%であった。
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新採・若手を大切にする職場になる4つのポイント
つまり、見えている離職率としては、決して高いわけではないが、辞めたい、休みたいと、しんどさを抱えている教員はかなりの数に上る。これでは、出勤していても、パフォーマンスは高まらないだろうし、思うように授業や子どもの関係が進まないと、よけい苦しい状況になる。悪循環だ。
では、新採・若手の教職員を大切にする職場になっていくには、どんなことが必要だろうか。国も、自治体も、学校も、さまざまな主体が努力していく必要がある話であって、誰かだけのせいにはできない問題だが、ここでは4点に絞って提案したい。
かつてのように飲み会に頼って親睦を深めるという時代でもなくなってきたことは、民間でも学校でも同じだ。しかも、学校の働き方改革の副作用だろうか、ともかく早く帰れという圧の中で、教職員の間でちょっとした雑談や他愛のない会話で盛り上がるということが少なくなっているとも聞く。
かつて週休2日制でなかった頃は、土曜に午前の授業を終えたあと、かなりゆっくり教職員で話せていた、若手の悩みもけっこう聞いてもらえたと回顧するベテランは多い。
であれば、自然発生的なコミュニケーションを期待しても、限界がある。意図的に場をつくっていくしかない。具体的には2つのことが必要だ。
1つは、今からでも校内研修を一部組み替えること。おそらく授業研究やICT活用、コンプライアンス(不祥事防止)などに研修時間を割いている学校は多いと思う。それらが大切ではないとは言わないが、もっと先にやることがある。それは、教職員間でわからないことや不安を気軽に話せる関係づくりを進めることだ。
ある小学校では、校内研修で教職員が輪になって、先週あったちょっと面白いことなど近況をシェアする。自然と笑いが起きて、リフレッシュにもなる。
別のある小学校では4月当初、校長の長々とした学校説明や校内での分担決めなどからは始めない。図書室に集まって、教職員でフルーツバスケットをする。自己紹介をしながら、趣味やちょっと得意なことなどを話していく。
お互いのことを知らないと、助け合いや協働は生まれない。得意なことや苦手なことを知っていたほうが、頼りやすい。私の研修でもよく申し上げているが、Know Howを溜めようとするよりもKnow Whoが先に重要だ(聞ける人がいると、Know Howは引き出せる)。
もう1つの仕掛けとしては、職員室などで、雑談しやすいリフレッシュスペースを設けること。ちょっとしたお菓子を置いたり、コーヒーブレイクができる場があったりするといい。
日本の学校は特異で、子どものためにどうするかという思想は強いものの、教職員の福祉や生産性のために設計されている場や設備がすごく少ない。病院や民間のサービス業などと違って、休憩スペース、バックヤード的なところがない学校も多い。
Google社は、フルーツを置いたり、ビリヤードができる場所があったりすることで有名だが、それは、部署を超えたコミュニケーションを誘発する狙いがある。Googleほどでなくていいので、各地の学校でも、ちょっとしたカフェスペースを設けるくらいの予算なら投じてほしい。それほど贅沢な話とは思えない。
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【来年から入学式と始業式を後ろ倒しという手も】
