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「ベジタリアンにならないか?」フランス人の夫の提案から始まった…人気ブーランジェリーが歩む「夫唱婦随」の難路

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「食の未来」を変える小さな選択肢を増やしたいという(写真:宝島社提供)
  • 石川 芳美 「メゾン ランドゥメンヌ」オーナーシェフ
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そうなると、普通のブーランジェリーとして営業していることに、どこか矛盾を感じるようになりました。

「メゾン ランドゥメンヌ」はもともと伝統的なパン屋なので、エコロジー志向のブランドではありません。もちろん、少しずつ改善していくことはできますが、それと同時に、まったく新しい方向のブランドの立ち上げも必要なのではないか、という話になりました。

そこで2018年ごろから準備を始めたのが、プラント(植物)ベースの原材料を使った取り組みです。

ただ、この時点では材料を探すところから始めなければなりませんでした。今でこそ豆乳やオーツミルクは一般的ですが、当時はまだ選択肢が少なく、バターの代替品も探さなければいけませんでした。

「卵」を使わずにパンが作れるのか

そして、とくに大きな壁になったのが卵でした。

ブーランジェリーやパティスリーにとっては、卵は必須の材料です。プラントベースの原材料を使うには、どうしても代替品が必要になり、2019年に夫がエンジニアと一緒に、植物性の卵代替原料を開発する「YUMGO(ユンゴ)」を立ち上げました。

私は創業メンバーではありませんが、初めはパン職人としてテストベイクを担当し、現在はアジア開発担当の責任者として参画しています。

「ユンゴ」では、卵そのものを作るのではなく、卵が持つ3つの機能――起泡性、乳化性、凝固性――を再現することを目指しました。

卵白タイプ、卵黄タイプ、全卵タイプがあり、メレンゲやケーキ、ソースなど用途ごとに使い分けることができて、卵の味はしませんが、機能として代替できるものです。

アレルギーがなく、遺伝子組み換えも使わず、コレステロールもない。これらの特徴から、現在はホテルなどの業務用として使っていただくケースも少しずつ増えています。日本にも数年前にローンチし、台湾にも展開中。これから上海にも進出する予定です。

この取り組みがあったからこそ、100%プラントベースのブランド「ランド&モンキーズ」も立ち上げることができました。

同時に、「メゾン ランドゥメンヌ」のほうでも、少しずつプラントベースの商品を増やしています。また会社としても、環境への取り組みを進めています。

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【具体的な取り組みの数々】

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