中国の有名大学のキャンパスやIT企業のオフィスが集中する北京市の中関村。その一角にある中国科学院大学では、4月9日、講義棟の1階ロビーが履歴書を手にした学生たちであふれかえっていた。
同大学ではこの日、ネットサービス大手の阿里巴巴集団(アリババ・グループ)が2027年に卒業予定の学生を対象にしたインターン募集の出張説明会を実施していた。講義棟内の階段教室で行われた説明会は200余りの座席がたちまち埋まり、立ち見が出るほどの盛況だった。
そして説明会が終わると、学生たちは先を争ってロビーに移動。アリババの事業部門ごとに設けられたブースに列をつくり、人事担当者に履歴書を手渡すとともに、就職活動の助けになる情報を得ようと熱心に言葉を交わしていた。
(訳注:中国科学院大学は国策研究機関の中国科学院の傘下にある高等教育機関。大学院教育を主体に、研究者や教員の育成に注力している)
「どうしたらいいのでしょう」
「私たちの指導教授はAI(人工知能)が得意ではありません。私たちは(就職活動を成功させるために)どうしたらいいのでしょう?」
アリババのクラウド事業部門である阿里雲(アリババクラウド)のブースでは、2人連れの大学院生が不安げな面持ちで人事担当者に質問していた。それに対して、担当者は次のようにアドバイスした。
「もしアリババに入社したら、AIツールを業務に活用する知識を学ぶ機会を会社が提供します。でも就職活動を始める前に、大学院での研究項目にAIを取り入れたり、AI関連の知識を(自力で)学んだりして、履歴書をブラッシュアップすることをすすめます」
中国では近年、大学や大学院の新卒者の就職難が深刻化している。
「私の専攻分野は経済・経営ですが、就職は非常に厳しいと感じています。自分がどんな職種に向いているのかわからなくて、(人事担当者に)話を聞きに来ました」。ブース前の列に並んでいた修士課程1年生の女子学生は、心情をそう率直に打ち明けた。
中国科学院大学でのアリババの説明会には、周辺の名門大学からも一部の学生が足を運んでいた。北京大学で数学を専攻する3年生の学部生の2人連れは、参加の動機を次のように語った。
「ふだんは大学のキャンパス内に閉じこもっているので、外の世界を学ぶために(インターンに応募して)飛び出したほうがいいと思うんです。(大学で)教科書から学ぶことと、企業の業務の実践的対応は違いますからね」
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【IT大手のインターン募集に学生が殺到】
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