最後の「数的推論」は、具体的には文章問題を解く力のこと。設問を読んで具体的な場面をイメ―ジでき、計算式を立てて、計算して答えを出すというプロセスの中で判断する。
継次処理、同時処理のどちらが弱くても文章からイメージ化ができず、特に同時処理が弱いと、その情報を処理して計算式を立てることができない。
この4つの領域を算数障害の定義にあてはめると、「計算するのが苦手なタイプ」と「推論するのが苦手なタイプ」の2つに分けられるが、どこでつまずくかは1人ひとり異なる。
たとえば、「計算」は九九のように暗記すれば手続き的にできても、数字が持つ量感を理解できないと、10+20=300というまちがった答えを出してしまう。
「計算ドリル」での繰り返し練習は意味がない
逆に量感はわかるが「計算」が手続き的にできないケースもある。
周囲がこの特性を把握しないまま、計算ドリルなどで繰り返し練習させても、計算はできるようにならない。
「算数障害の子どもたちに集中的に問題を解かせるのは苦しめるだけ」と、熊谷名誉教授は苦言を呈する。
「算数は4つの領域を順番に積み上げて、1年生、2年生、3年生とあがっていく教科。学習する内容もどんどん複雑化していきます。暗算の計算ができなければ計算に時間がかかりすぎますし、かけ算ができなければ図形の面積を求められない。四則計算ができなければ文章題は解けません。
算数障害があると、その積み上げがスムーズにいきません。数詞や数字、数の大きさ、計算など非常に基本的なところでつまずいたまま、次の領域に学習が進んでしまうため、さらにわからないことが増える。
そうさせないために必要なのは、とにかく早めに算数障害をはじめ、子どもの算数の困難さに気づいて、子どもの特性に合った支援をしてあげること。要は小学1年生の時点が肝心なのです」
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【算数障害の疑いがあるならば、知能検査を受けたほうがいい】
