F1は、世界最高峰のモータースポーツとして、マシンの「速さ」と「耐久性・信頼性」を競うハードウェアとしての国際イベントだ。
基本的に、そのスタンスはいまでも変わっていないのだが、「ファンの在り方」が大きく変わってきたといえる。
リバティメディアが仕掛けた効果は、昨年の日本グランプリで兆候が見え始め、今年の鈴鹿でははっきりと「シン・F1」に進化したのだと思う。
そもそも、モータースポーツのファンは「クルマ好き」がベースであるが、ファンによってモータースポーツの好きなカテゴリーは、国内では「スーパーGT」であったり「スーパーフォーミュラ」であったり、また世界選手権ならば「世界ラリー選手権(WRC)」であったり「世界耐久選手権(WEC)」であったりと、それぞれ志向が違う。
そうした中で、モータースポーツファンにとってF1は「名実ともに世界のトップ」であるという認識があり、敬意を持って観戦している。
アメリカでF1は不人気だった
こうした従来型のモータースポーツファンの数は、00年代に入り減少していったという印象がある。
筆者は70年代後半からモータースポーツに対してさまざまな立場で関わっているが、世界各地での各種レースの現場取材で主催者、参加する自動車メーカー、自動車部品メーカー、燃料関連企業、メディア関係者らと意見交換する中で、そう感じてきた。
特にF1について長年大きな課題だったのは、アメリカで人気がないことだった。
70年代から80年代前半には、マリオ・アンドレッティ氏がアメリカ人ドライバーとして活躍した頃こそ一定の人気はあったものの、80年代後半以降は市街地レースを行っても地域住民から騒音や渋滞が指摘されるなど、継続的なF1開催が難しくなった。
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【リバティ・メディアの「先見の明」】
