ブラフ・シューペリアというブランドを聞いて、ピンときた読者はよほどのモーターサイクル愛好家か、映画好きだろう。
モーターサイクルブランドとしての歴史は古く、創業者ジョージ・ブラフは、父ウィリアム・ブラフが創業した「ブラフ・モーターサイクル」を超える世界最高のモーターサイクルを志し、1919年に創業、40年までイギリスのノッティンガムにて車両を生産。40年以降はイギリス空軍機エンジン製作に携わったものの、第2次世界大戦後はエンジンAssy・部品などの調達難からモーターサイクルの生産を終了、会社を清算する。
映画から一躍有名になったブラフ・シューペリアの名
一方、62年公開の映画『アラビアのロレンス』にて、主人公のトーマス・エドワード・ロレンス(1888〜1935、享年46歳、以降T・Eロレンス表記)が愛したマシンとして知られている。
実在の人物であったT・Eロレンスは、イギリス陸軍将校としての実務をこなしながらも外交官、作家、考古学者と様々な活動と幅広い人脈で活躍を期待された人物だが、7台のブラフ・シューペリアを所有し、8台目のマシンが納品される前に、飛び出してきた自転車を避けて帰らぬ人となった。そこから映画がスターとする。
当時はイギリスとアラブ諸国の緊張が高まっており、作品内では第1次世界大戦時におけるT・Eロレンスの戦時下での人間関係を描いている。本作品の大ヒットによって、ブラフ・シューペリアというブランドは一般にも広く知れわたることになった。
今回試乗したブラフ・シューペリアの“ロレンス”というバイクは、映画『アラビアのロレンス』の主人公T・Eロレンスからのネーミングだ。
当時のブラフ・シューペリアは、21年間で3000台以上生産し、現在でも1000台程度の車両が現存しているといわれている。その生産には手間暇がかかっており、また、そのほとんどがオーダーメイドのハンドビルドであり、同じマシンは2台とないといわれる。
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【途絶えた歴史、そして復活劇】
