その過程で生まれたのが、「赤箱女子」というキャッチコピーである。ユーザーの読者モデルやインフルエンサーを取材し、「赤箱女子」として特設サイトで発信することで、「おしゃれな洗顔コスメ」としてブランドを再発信していったのである。すると、瞬く間に販売数が伸長し、前年比25.6%の売り上げ増を記録。レギュラーサイズでは、02年に売り上げが逆転していた後発品「カウブランド 青箱」(以下、青箱)を、見事抜き去ったのである。(26年4月現在、「赤箱女子」の発信は終了済み。)
1万2000人が押し寄せたリアルイベント
その年の秋、藤松さんたちは期間限定ショップ「赤箱 AWA-YA in KYOTO」をオープンさせた。店内はパッケージにちなんだレトロな世界観を表現し、泡ハンドパックや泡だて体験、オリジナルグッズの販売などを行った。
当初、広告代理店が出した目標来場者数は、10日間で700人。だが、予想に反して初日だけで1000人が来場し、約2週間で延べ1万2000人が殺到した。
期間中は人手が足りず、絶えず商品を補充し続けることになった。「こんなの作っても売れないんじゃないか」と周囲から懐疑的な声が上がっていた「赤箱」グッズは、飛ぶように売れた。だが、それ以上に社員が驚かされたものがある。それは、足を運んでくれた顧客の熱量の高さだ。
「『赤箱』が好きで好きで、ずっと使ってるんです!こんなイベントを開催してくれて、めっちゃうれしいです!」
同じように話すお客さんは非常に多く、「商品を好きでいてくれる人が、こんなにたくさんいたのか」と、その場にいた社員全員が実感できたと言う。
ショップの盛況ぶりは多くのメディアで取り上げられ、SNSでも拡散された。すると、これまで「赤箱」を取り扱っていなかった小売店の担当者から、「うちの店にも売り場を作らせてほしい」と問い合わせが相次いだ。とある小売店では、「赤箱」コーナーを設けた途端、前週比10倍の売り上げを記録したそうだ。
「それまでは、『マーケティング部が何かやっている』『そんなイベントやって意味あるの?』と静観していた他部署の社員が、気づいたら応援側に回ってくれてました」
こうした外部の反応のおかげで、従来の「○○してはいけない」という社内の空気は一掃されていった。さらに、かつてのような「企業視点」の考え方ではなく、ファンとのコミュニケーションを重視した、「顧客視点」での製品開発へとシフトしていったのである。
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【「ブランドは自分たちのものではなく、お客様のもの」】
