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明治創立の女子校が「通信制」併設、 卒業生の筆者も驚いた「共学化」ではない選択―きっかけはベテラン教員の切実な願い

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筑紫女学園高校・通信制課程のスクーリング(対面指導
筑紫女学園高校・通信制課程のスクーリング(対面指導)で探究の授業を受ける生徒たち(写真:筑紫女学園)
  • 浦上 早苗 経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員(コミュニケーションマネジメント)
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そして広域通信制高校に在籍する生徒は、居住地にかかわらず学校本部の所在地の生徒としてカウントされる。

福冨事務長は「沖縄県や北海道は通信制の生徒数が突出して多い。大規模な広域通信制高校が本部を置いているからだと気づきました」と話す。

そもそも通信制高校は戦後、勤労青年に教育機会を提供するために制度化された。自宅での自習を基本にレポート提出やスクーリング(対面指導)、試験を通じて単位を修得し、高卒資格を得られる仕組みになっている。その後、不登校経験者や全日制高校中退者の受け皿へと役割が変わり、2003年に株式会社による運営が認められたことで企業の参入が拡大した。

中でも角川ドワンゴ学園が16年に開校した「N高等学校(N高)」はネットコンテンツや最新のIT技術を積極的に導入して通信制のイメージを刷新し、S高、R高を加えたグループ全体で約3万5000人(25年末時点)を超える巨大組織へと成長した。

文科省によると、通信制高校数は333校で、生徒数は約30万5000人。18歳人口の減少にもかかわらず、20年前(05年度:175校、約18万5000人)と比較すると、校数は約1.9倍、生徒数は約1.6倍に増え、高校生の10人に1人以上を占めるまでになった。

(画像:文部科学省・学校基本調査をもとに筆者作成)

また、公立校がほぼ横ばい(76校→82校)なのに対し、私立校が99校から251校へと約2.5倍に急増し、近年の生徒数の増加分の多くを、私立の広域通信制が吸収している。

「最後のピース」がそろった

広域通信制は高校生の新たな受け皿として急拡大する一方、教育の質の担保が課題になっている。100人を超える生徒に教員が1人で面接指導していたり、土産物購入のお釣りの計算を「数学の履修」と見なしたりするなど、不適切な運営も次々に露見している。

文科省も通信制高校の教育内容や運営状況のチェック体制を強化しているものの、ブラックボックス感は解消されていない。広域通信制高校の多くは全国にサテライト校を設置しているが、サテライト校が位置する自治体には行政指導の権限がなく、上記のような不適切な事例を見聞きしても手出ししにくいという問題もある。

「保護者の世代は通信制に不安を抱き、『できるなら全日制に』と思っている人も多い。100年以上学校を運営してきた本校が、全日制の施設や教員を活用して通信制課程を運営するなら、文科省の方針にも合致し、生徒や保護者に安心感や差別化を提供できると思いました」(福冨事務長)

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【教員たちの思いは一緒だった】

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