仏教の教えをベースとした規律と伝統を重んじる校風が女学校時代から受け継がれ、1927年(昭和2年)ごろに制服として採用されたセーラー服は、マイナーチェンジしながら現在まで維持されている。
筆者が高校生のころ、長い髪を下ろして制服姿で商店街を歩いていたら、卒業生を名乗る女性に「筑女の生徒なら三つ編みにしなさい」と注意されたこともある。
校則は時代とともに見直されたそうだが、昭和どころか明治の香りすら残す学校と、令和の時代に台頭した通信制は、水と油のような取り合わせにも見える。
「そんな簡単にできる話じゃない、と言われたのははっきり覚えています」と森田教諭は苦笑した。
通信制のブラックボックス
「そんな簡単にできる話じゃないと言ったのは私です」
そう話すのは筑女中高で経営、人事、事務を統括する福冨真悟事務長だ。しかし福冨事務長も、内心では通信制高校に関心を抱いていた。
「教員向けの合同採用イベントに参加すると、通信制高校のブースが大盛況なんです。教員=ブラック職場のイメージが定着する中、通信制は『教育の革新』『教員の負担軽減』をアピールして教員志望者の人気を集めていました」(福冨事務長)
森田教諭の提案を機に、福冨事務長は文部科学省や自治体の統計を分析したり、保護者として入学説明会に参加したりするなど通信制高校の情報収集を始めた。そこで突き当たったのは、「広域通信制」というブラックボックスだった。
「通信制高校の生徒数を調べると、福岡県は高校生人口に対してかなり少ない。最初は福岡は通信制に通う生徒が少ないのかなと思ったのですが、実は違ったのです」(福冨事務長)
あまり知られていないが、通信制高校には狭域通信制と広域通信制があり、前者は「学校がある都道府県と隣り合う1つの都道府県」に在住する生徒を募集対象とするのに対し、後者は3つ以上の都道府県から生徒を募集できる。
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【広域通信制の学校は急拡大しているが…】
