しかし、支援に対する現場の意識には差がある。
「もじソナを授業だけでなくテストでも使えるようになった学校がある一方で、利用を認めてもらえないお子さんもいます。そうした社会的な構造を何とかしたいので、合理的配慮の文脈で活用してもらえるようになることはもちろん、基礎的環境整備の一環として広がることを目指しています」(森分氏)
現在も実証実験は継続しており、東京都中野区や兵庫県三木市の小中学校の一部学年でも実証実験がスタートしているほか、大阪LDセンターや都内のクリニックでは療育として試験導入が始まっている。
「基礎的環境整備」の観点から関心を持つ教委
先行リリースでは約600名の事前予約が入り、当事者のほか、学校関係者が3割を占めた。4月1日から正式リリースとなったが、今後はどのような展開が考えられるのか。
「基礎的環境整備のニーズから関心を持たれる教育委員会は多く、利用料の面で折り合いがつけば導入したい現場は少なくないと感じています。また、先生方はテストにルビを振るだけでも4時間かかるそうですが、もじソナなら3分でできるので、労働力の観点からも注目いただいているのではと思います。今後は、子どもが自分で教材を撮影することなくすぐに学び始められる機能や、テストや入試で使える機能などの実装も期待しています」(菊田氏)
当初は読み書き困難の子どもたちのために開発されたもじソナだったが、複数の実証実験を通じて「外国ルーツの子や特別支援学級の子、聴覚優位の子など、さまざまなニーズに応えられるツールであることも確認できた」と森分氏は説明する。今後は教員が使いやすいと感じられる機能、例えば教材準備や評価を実施しやすくする機能などの検証を重ねて実装していく考えだ。
文科省は3月に新年度に向け、特別な教育的支援を必要とする児童生徒に適切な支援を行うよう通知を出し、そのためのICT活用も促した。次期学習指導要領で示された方向性「多様な子供たちの『深い学び』を確かなものに」の実現にあたっても、テクノロジーの活用はさらに推進されていく見通しだ。
長年、学習障害のある子どもたちの支援を続け、ICTツールを手にしたことで大きく成長する姿を見てきた菊田氏はこう語る。
「これからの子どもたちには思考力、判断力、表現力が求められます。こうした力を育むのに読み書きがハードルになっているのであれば、もじソナのようなICTツールやAIなど使えるものはどんどん使っていくべき。学校現場では、そうした姿勢で支援を考えていただきたいです」



