異例ずくめ「対米投融資87兆円」の不都合な真実、将来に禍根を残す危うい賭けになりかねない

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「いずれのプロジェクトも、返済原資が不足する可能性が高い」

あるメガバンクは、第1弾の全プロジェクトにおいてリスク分析を行った結果、キャッシュフローが不足するリスクが高いとの結論に至った。理由は、各案件で事業収益が計画を下回るリスクが散見されることに加え、利益配分をめぐる日米間の枠組みに日本側が不利となる条項が組み込まれているからだ。

プロジェクトに必要な資金は日本側が全額負担する一方、プロジェクトから生じた利益は、日本側が元利返済相当分を確保するまで日米に50%ずつ分配される。その後はアメリカ側に利益の9割が分配される仕組みだ。

そのため日本側は、融資した金額に見合うだけのキャッシュフローを十分に確保しづらい。そのうえ事業収益が想定を下回れば、日本に帰属する配当原資は一段と細くなる。つまり出足から、融資回収の安定性に大きな不安を抱えているわけだ。

「45営業日以内に資金を提供」というハードル

さらに、第1弾の各プロジェクトにおいてオフテイカー(需要家)の顔ぶれや販売契約など、融資判断の前提となる重要事項が固まっておらず、精緻なデューデリジェンスを行える状況にはない。にもかかわらず、日米間で合意したタイトな時間軸の下で、銀行団は案件決定から45営業日以内、4月下旬までの融資実行を迫られている。

というのも投融資案件の選定プロセスは、まず日米両国で構成される協議委員会が協議し、その後、アメリカのみで構成される投資委員会がプロジェクトを推薦する。これを受けて、米大統領が日本から資金を受けるプロジェクトを決定する流れだ。

しかも、米大統領がプロジェクトを決定してから45営業日以内に資金を提供することになっている。実行が遅れれば、関税の引き上げをはじめ対日経済圧力が強まるおそれがある。メガバンクとしても、事業の不透明さなどを理由に簡単に立ち止まることができない立場に置かれているのだ。

対米投融資で発生する損失は国民負担になるーー。その不都合な真実の詳細は【独自】「対米投融資87兆円」の知られざる巨大損失リスク/3メガとJBICの禍根を残す巨額融資が「国民負担」の火薬庫にをご覧ください。
北山 桂 東洋経済 記者

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きたやま かつら / Katsura Kitayama

1975年群馬県生まれ。日本農業新聞や『週刊金融財政事情』編集長などを経て、2024年4月東洋経済新報社入社。

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