人口18万人なのに「駅前が混雑」する立川。なのに八王子は…貧弱購買力で百貨店が全滅「多摩最大都市」が素通りされるワケ

✎ 1〜 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 8
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

1993年の調査でも「市内の大学生の衣料品・スポーツ用品の購入先は市外が7割強で、新宿・渋谷・吉祥寺での購入割合が高い」と記されていた(『不動産研究』1993年)。消費者が都心に吸い寄せられるのは、今に始まったことではないのだ。

さらに、2023年の帝京大学と八王子市の共同研究では、進学で転入した学生約9400人が卒業後の数年間でほぼ同数が市外へ転出していることが推察されるという(帝京大学・八王子市共同研究報告書、2023年)。学生は来るが、定着しない。消費も生まれにくい状態だ。

⑤人が本当に求めているのは「ゆっくりできる場所」

京王八王子駅方面へ向かうと、「東京たま未来メッセ」前の広場でマルシェが開かれていた。と同時に、メッセの階段に人がたくさん座っていた。

どのビルにもチェーンカフェが入っていて、どこも満席だ。人はいるのに「買い物」をしているわけではない。どこを歩いても、人々は座ってゆっくりできる場所を探しているように見えた。

ここまで街を歩いて、見えてきた共通点がある。人が集まっている場所はセレオ・チェーンカフェ・サイゼリヤ・マルシェ隣の階段、すべて「座ってゆっくりできる場所」だ。

逆に人が少ない場所は、オーパ前の薄暗い広場・オクトーレの上層階など、滞在しにくい空間だった。市は「滞留性の向上」を課題とし、今年度は「桑都千景」というのれんを飾るイベントを実施した(中心市街地活性化基本計画)が、人が求めているのは街を飾ることではなく、ただ座ってゆっくりできる場所だ。

LIFULL HOME'Sの2026年版「借りて住みたい街ランキング」では首都圏2位に入り、大宮、本厚木と並んで「郊外御三家」として根強い人気を維持している(株式会社LIFULL、2026年2月)。選ばれている理由は「交通利便性の高さと駅勢圏の広さ」だ。消費センターとしてではなく、住む場所として選ばれている。

百貨店や大型店の跡地が商業施設として再利用されず、ほぼすべてマンションになっていることから、「消費センター」と呼ばれた街で、商業の跡地は居住空間に変わりつつある。車社会となった八王子では、多くの人が郊外の施設へと向かう。

次ページ外から見た評価と、中にいる人の実感のズレ
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事