興味深いことに、中国で「早稲田大学」と言えば、知らない人はほとんどいない。一方で、私立大学の双璧をなす慶應義塾大学については、知る人が比較的少ない。
早稲田大学が中国で高い知名度を持つのは、単なる「日本の有名大学」という枠を超え、歴史的背景、人的ネットワーク、文化的影響力が複合的に作用しているためである。
早稲田大学は日本の大学の中でも留学生数がトップクラスだ。同大のデータによると、2025年11月1日時点で外国人学生数(注)は6137人、そのうち中国からの学生は3267人いる。
ちなみに慶應義塾大学の留学生数は、同日時点で全体2200人、中国からは965人だった。
(注)「外国人留学生」とは、休学中・留学中の学生も含む点などで定義が異なる。早稲田大学の2025年11月1日時点の外国人留学生数は5519人。
早稲田は近代中国と“歴史的つながり”が
20世紀初頭、早稲田大学はすでに「清国留学生部」を設置しており、清末から民国期にかけて多くの中国人留学生を受け入れていた。
なかでも重要なのが、初代中華民国臨時大総統である孫文との関係である。孫文は日本滞在中、早稲田大学の関係者と深く交流した。
当時、日本は中国知識人にとって、西洋近代思想を受容するための身近な中継地であった。なかでも早稲田大学は政治・法律・経済といった実学を重視し、近代国家の運営に必要な知を提供する場として重要な役割を果たした。
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【早稲田で学んだ知識人たち】
