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中国人留学生が「慶應でなく早稲田を選ぶ」深い理由 背景には、早稲田で学んだ「中国人エリート」たちの軌跡が

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早稲田大学
中国人の留学先として人気の早稲田大学。その背景には、歴史的な繋がりがあった(写真:i-flower / PIXTA)
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ここで学んだ留学生たちは帰国後、官僚・教育者・ジャーナリストとして各分野で活躍し、制度改革や思想啓蒙を担った。

このように早稲田は、人材の輩出を通じて中国社会に影響を与えた。その積み重ねが、「中国近代化に関与した日本の大学」という記憶を形づくったのである。

孫文に限らず、早稲田大学に関わった、あるいは日本留学を通じて近代中国に影響を与えた人物は少なくない。重要なのは、「早稲田卒」そのものよりも、“早稲田大学を軸とする日本留学ネットワーク”の存在である。

代表例が、新文化運動を指導した陳独秀だ。正規の卒業生ではないが、日本滞在中に西洋思想に触れ、その後の新文化運動を主導した。当時の早稲田大学に見られた活発な言論・出版環境は、彼に大きな刺激を与えたと考えられる。

また、李大釗は1913〜1916年に早稲田で学び、帰国後は中国共産党創設の中心人物となった。さらに、国民党系の実務家である廖仲愷も早稲田を経て日本での人脈を築き、革命運動を支えた。

廖承志は1927年に早稲田大学政治経済科で学び、その後、中国を代表する外交官になり、華僑・華人政策を担う僑務工作の指導者として活躍した。1982年には早稲田大学から名誉法学博士号を授与されている。

このように、日本留学を経験した知識人層全体が中国近代化の担い手となり、その中で早稲田は象徴的拠点として記憶されている。

中国エリート層との人的ネットワーク

早稲田大学は長年にわたり、中国から多くの留学生を受け入れてきた。現在でも中国人留学生数は日本でもトップクラスに位置し、「稲門会」をはじめとする校友ネットワークは中国各地に広がっている。卒業生が政界・メディア・ビジネス界など多様な分野で活躍していることも、大学の知名度をさらに押し上げている。

こうした卒業生ネットワークは、いわば口コミの力として機能し、中国社会の中で早稲田大学のブランド価値を持続的に支えている。

日本では依然として国立大学を上位とみなす傾向があるが、中国ではより直感的で分かりやすい「ブランド力」が重視される。その点において、早稲田大学の存在感は際立っている。

政治・経済・メディアの各界に強固なネットワークを持つことに加え、文学やジャーナリズム、演劇といった文化系分野での強みも、ブランド価値を押し上げる大きな要因だ。日本の作家やクリエイターの母校として語られるたび、その「知的で自由な校風」は海を越えて認識されていく。

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【「子どもを早稲田で学ばせたい」】

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