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松本大氏がマネックスからの転身で始めた「やりたいこと」とは?――読解力低下が叫ばれる現代に問う"ルビ"の価値

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松本氏がマネックスのトップを退いて始めたこととは?(写真はいずれも本人提供)
  • 松本 大 マネックスグループ会長、ルビ財団ファウンダー・評議委員
  • 窪田 良 医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO
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松本:ところが、そんなルビが第二次世界大戦後に一気に減ってしまいます。理由は大きく分けて3つあります。1つは戦後日本を占領したGHQの方針です。当用漢字を導入する代わりに、それらの漢字にはルビを振らないよう決めたのです。

2つ目は戦後の人手不足で、新聞社や出版社がルビを振る労力を割けなくなったこと。小さい活字を拾って活版を作るのは、さぞ大変だったことでしょう。

そして最後の1つは、山本有三という劇作家が戦前から唱えていた「ふりがな廃止論」の影響です。彼はルビを「小さい、みにくい虫」と非難し、ルビをなくそうと主張しました。この動きと、先に挙げた2つの理由とも流れが一致してしまった結果、ルビが振られた印刷物は急激になくなりました。これは本当に彼の個人的な思いに過ぎませんでした。芥川龍之介だって、完全にルビ擁護派だったんですよ。

ルビは読解力低下を救う

窪田:そんな歴史があったのですか。

松本:今ではもう、出版社の人たちにも、ルビは振らないものだという風潮があります。お話ししたような環境で育っているので、あまり深く考えずに「そんなものだ」と思っているのでしょう。でもそれによって、漢字の知識や文章読解の力にだんだんと問題が出てきていると思います。

読解力低下に関連して、映画の字幕についていけない人が増えたことも指摘されています。映画字幕のあの速度で訳を表示するには、漢字を交えた文字量にしないと間に合いません。しかもよほど特殊な表現でない限り、字幕にはルビがつきませんね。それなりに漢字が使われた文章が、あの速さでポンポン流れていく。

これについていけないという人が、すでに一定数いるそうなのです。これが映画や劇場離れの一因であるなら、本を作る出版社の人たちも、意識してルビを振って本を読んでもらう必要があります。そうしなければ、やがて自分たちの首を絞めることになるでしょう。

(構成:鈴木絢子)

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